ホンダが開発を目指すのは、「人の感情を理解し共感できること」「人に寄り添い、共に成長していくこと」「主役である人の可能性を拡大していくこと」を特徴とする人と協調するAIだ。京大も、AIの新しいコンセプトを作り出し世の中に発信していくことに意欲を示している。
ホンダの研究開発子会社、ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンと京都大学 大学院情報学研究科は、人工知能(AI)の研究を加速させるためのプロジェクトを開始したと発表した。同プロジェクトの代表は、京都大学 大学院情報学研究科 知能情報学専攻の熊田孝恒教授が務め、ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンのシニア・サイエンティスト島崎秀昭氏およびシニア・リサーチャ船越孝太郎氏が、知能情報学専攻協調的知能共同研究講座の特定准教授として京都大学に着任した。
ホンダが開発を目指すのは、「人の感情を理解し共感できること」「人に寄り添い、共に成長していくこと」「主役である人の可能性を拡大していくこと」を特徴とする人と協調するAIだ。京大も、AIの新しいコンセプトを作り出し世の中に発信していくことに意欲を示している。人と協調するAIが広く社会に受け入れられ、活用されるためのコンセプトの確立を目指していくとのこと。
産業や医療、教育など幅広い分野でAIの影響力が拡大するなか、社会の利益を損なうAIへの懸念も出てきている。企業や研究機関は、平和や安全に貢献することが求められるほか、社会に対してはAIについての理解を促す努力が重要となる。日本でのAI普及を推進する人工知能学会の倫理委員会は、研究者らが守るべき計9項目の指針を示したり、セミナーを開催したりといったさまざまな啓蒙活動に力を入れている。こうした活動を通して、社会全体でのAI技術への理解を深め、AIの社会のなかでのあるべき姿への議論を深めることを目指しているという。
AIの開発競争が激化し、競争力強化のための研究開発が突き進むなか、社会に受け入れられる努力は怠られがちだ。ヨーロッパではAIの人格を認める動きも出てきており、高度化するAIをどういった性格のものにするかといったコンセプトは重要だ。かつて人型ロボットASIMOを開発し、広く社会に受け入れられることに成功したホンダが開発する、人と強調するAIがどのようなものになるのか、その期待は大きい。(編集担当:久保田雄城)