有機EL事業を展開中のJOLEDが、4月より有機ELパネルのソニーへのサンプル出荷を開始したと発表。「印刷方式」での有機ELパネル製造を実用化したJOLEDの、次の一手に注目が集まることとなりそうだ。
ソニー<6758>及びパナソニック<6752>の有機EL技術を源流とし、有機EL事業を展開中のJOLEDが、4月より有機ELパネルのソニーへのサンプル出荷を開始したと発表。東芝<6502>、ソニー、パナソニックが相次いでLG製の有機ELパネルを利用しての家庭用有機ELテレビの発売を発表している中、唯一の国内有機ELパネル企業のJOLEDの事業展開が具体化することとなった。
JOLEDが4月よりソニーにサンプル出荷の有機ELパネルは、21.6型。ソニー他が発売の家庭向け有機ELテレビが50型以上の大型に対し、中型のパネルとなっている。今後、医療用モニター向けを始めとして、順次製品展開がなされる予定である。
LGディスプレイ、サムスン電子といった韓国勢の有機ELパネルメーカーが「蒸着方式」の製造方式を取る中、JOLEDの有機ELパネルは有機EL材料を印刷で塗り分ける「印刷方式」を採用。生産工程が「蒸着方式」に比べシンプルであることから、「印刷方式」は有機ELパネルの製造コスト削減及び多彩な画像サイズへの展開が容易となる利点があり、以前より有機ELパネル製造方式の本命と目されてきた。
しかしながら「印刷方式」は生産のプロセス管理が難しく、量産化のための技術の確立に時間がかかり、有機ELパネルの製造は「蒸着方式」が先に普及している。今回JOLEDは世界で初めて、「印刷方式」での有機ELパネルの製造を実用化している。
有機ELテレビへの参入が相次いでおり、2017年は有機ELテレビ普及元年とも言われている。JOLEDの有機ELパネルは、医療用始め主に業務用の用途に提供される見込みであるが、家庭用・業務用ともに徐々に有機ELパネルの浸透が進むと予想される。
現在のパネル事業は技術力と言うより、設備投資の体力競争という面が多分にあるため、JOLEDも「印刷方式」という技術優位性のみでは、有機ELパネル事業の飛躍は困難と考えられる。技術力を生かし「印刷方式」での有機ELパネル製造を実用化したJOLEDが、今後どのようなビジネス展開を行うのか、次の一手に注目が集まることとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)