15年のLED照明器具の市場は前年比9.2%増の4,913億円 LEDの比率が大きく高まる

2016年11月21日 08:24

 既存光源からLED光源へのシフトが進み、それに伴いLED照明に付加価値をもたらす照明制御システムの提案が進んでいる。富士経済は、国内の光源/照明市場と、グローバルの光源市場動向について調査した。その結果を報告書「Special Appli. 光源/照明市場 実態・技術・予測 2016年版」にまとめた。

 それによると、2015年のLED照明器具の市場は前年比9.2%増の4,913億円となった。住宅用でダウンライトやシーリングライト、オフィス・ビルにおける大口の新設・リニューアル案件向けで光源一体型ベースライト、工場や倉庫の高天井用照明器具のLED化が進んでいることなどが市場拡大に寄与している。今後も従来照明器具からLED照明器具への置き換え、新規導入によって市場の拡大が予想されるが、LED化の進行によりリプレイス期間が長期化することで、2020年以降は市場縮小に向かうとみられるとしている。

 需要分野別では、2015年時点のLED照明器具の販売比率は数量ベースで住宅用85.8%、オフィス・ビル用85.7%、店舗用77.4%、施設用85.4%、屋外用74.6%である。住宅用はLEDダウンライトが大きく伸びたこと、オフィス・ビルや施設用では光源一体型LEDベースライトの販売が好調であったことやHID代替LED照明器具の販売が好調だったことを背景に、前年に比べてLEDの比率が大きく高まったという。

 有機EL照明器具の市場は、2016年は22億円が見込まれ、2018年には100億円を突破するとみられる。アプリケーションの開拓による普及が進み、2030年には570億円が予測されるとしている。

 レーザーヘッドライトの世界市場は、2015年、2016年見込とも僅少としているが、2020年予測は102億円、2030年予測は880億円に拡大するとしている。自動車ヘッドライト用光源としてLEDの採用率が急速に上昇しているが、次世代光源としてレーザー光源を採用するヘッドライトが注目されている。レーザーヘッドライトは省電力化、軽量化、ヘッドライトユニットデザインの自由性などの利点により研究開発が進んでいる。

 現時点では欧州メーカーの一部の高級車種に採用され、追加光源としてLEDハイビームに加えて使用されているが、販売は限定的である。レーザー光源は光の直進性に優れており、アウトバーン走行時などの遠方照射で性能を発揮するため、欧州市場でハイクラス車種を中心に2020年以降搭載が徐々に進むと予想される。低価格化や寿命の課題などを解決する必要があるものの、LED光源よりも消費電力の抑制効果が高いためEVおよびPHVでの採用のほか、ヘッドライト周辺を自由にデザインできる利点により中長期的には普及が期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)