日銀の金融緩和期待と円安で予想外の9000円台回復で終えたが来週は?

2012年10月20日 11:00

今週の振り返り、ソフトバンクが復調し全業種がプラスの日も

 先週末、8500円割れ寸前で終えた流れを受けて、15日は方向感に乏しい中、小動きで始まった。しかし円高の一服で先週大きく下げた景気敏感株の自動車、鉄鋼からまず火がつき、ゴム、海運、鉱業などにも買いが拡大して強含みで終えた。機械は業績予想が好感されたコマツ <6301> 、ツガミ <6101> が引っ張る形で、牧野フライス <6135> 、 不二越 <6474> 、安川電機 <6506> なども買われた。

 15日は先週末の売りの主役ソフトバンク <9984> は7日続落、ファーストリテイリング <9983> は4日続落とさえなかったが、16日になると一転、ソフトバンクは217円高と大幅に上げ、ファーストリテイリングも反発した。続伸の鉄鋼、電気機器、海運に加えて前日悪かったKDDI <9433> 、NTT <9432> 、イー・アクセス <9427> など情報・通信も反転し、証券も買われた。トヨタ自動車 <7203> は3000円台を回復し、三井住友FG <8316> など金融もよかった。9月の小売売上高が市場予想を上回ったアメリカ市場、アジア市場の堅調、1ドル=78円90銭台まで進んだ円安を受け、日経平均は大引けにかけて続伸し終値8700円台を回復した。

 17日は日経平均寄与度が大きいソフトバンクが140円高、ファナック <6954> が240円高になり、日経平均終値はもう一段上がって8800円台回復。スペインの早期支援申請観測が流れて債務不安が後退したことによるユーロ高が日米の株式市場を押し上げた。買いは鉄鋼、金属製品、鉱業から保険、不動産、パルプ・紙にもひろがり、TOPIX33業種別指数で下落したのはゴム1業種だけだった。この日の主役は、日銀の追加金融緩和観測で年初来高値を更新した三菱地所 <8802> 、フェイスブックとの提携が好感されて年初来高値を更新したヤフー <4689> 、増配の好業績予想でストップ高のフジミインコーポレーテッド <5384> だった。インテルの決算が市場予測を下回って関連株のイビデン <4062> 、新光電気工業 <6967> 、アドバンテスト <6857> は不調だったが、市場全体の好調さにかき消された。

 18日はQE3の恩恵が最大のアメリカの住宅関連指標が大きく伸びて景気回復期待が高まり、午前中に発表された中国の鉱工業生産、小売売上高、7-9月期の実質GDP成長率は、15日のCPI、生産者物価ともども景気減速は市場の想定の範囲内にとどまり、コマツ、ファナックなど中国関連銘柄は後場に上げている。取引時間中の為替レートが1ドル=97.22円、1ユーロ=103.84円と9月以来の円安になったこともあり、東京市場は堅調に推移した。不動産は続伸して非鉄金属、機械、自動車、保険、証券も高く、さらに三菱商事 <8058> など商社株にも買いが集まった。TOPIX33業種別指数は全業種がプラス。ソフトバンクは利食い売りで25円安だったが、ファーストリテイリングは大幅高で、日経平均は大引け間際に9000円の大台にあと一歩まで迫って終わった。

 19日の前場は一時9000円の大台に乗せたが、見送りが多いという週末の事情や市場の過熱への警戒感、ポジション整理売りなどを受けて一時、小反落する場面があった。しかし後場はコマツをはじめとする機械株やゴム、電気製品、電力・ガス、自動車、紙・パルプなどが買われて、海運、鉄鋼、金融のさえない動きをカバー。中国関連銘柄も引き続き強かった。ソフトバンク、ファーストリテイリングは下落したがファナックが500円高で終えたこともあり、日経平均は19.82円高の9002.68円と、大台をしっかり確保して今週の取引を終えた。

 今週の日経平均は、日銀による追加金融緩和期待が持続して先週の4日連続下落がウソのような5日連続上昇となった。8500円近辺から9000円突破まで500円近くも上げている。週後半はソフトバンクの連日の大商いなどもあり、東証1部売買代金が17日に1兆1000億円、18日に1兆2000億円を超えて、株式市場の活気は上向きになっている。

来週の展望、日経平均9000円前後の水準を維持できるか

 来週の発表指標は、国内では22日に9月の貿易収支、9月の全国百貨店、スーパー売上高が出るが、パッとしないのは市場も織り込み済みか。アメリカでは23日に10月のリッチモンド連銀製造業指数、24日に新築住宅販売件数が出る。18日に発表されたフィラデルフィア連銀景気指数は市場予想を上回っており、住宅指数の好調さも続くかどうか注目される。

 前週末のEU首脳会議は「好結果が出る」ことを為替市場も株式市場も今週、織り込み済み。23~24日には連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、終了後に政策金利が発表される予定。大統領選挙直前でもあり、QE3の影響を見極めるために金利は据え置きになる公算が強いが、もしFOMCの発表でサプライズが起きれば30日の日銀の金融政策決定会合に大きな影響を及ぼすだろう。

 国内企業の決算発表はいよいよ本格化する。今週好調だった三菱商事が業績予想が減額修正されるなど、早くも波乱の気配が漂う。為替レートが今週の流れを引き継いで円安基調で、EU首脳会議にもFOMCにも国内企業の決算発表にも大きなサプライズがなければ、5連騰の後の利食い売り、高値警戒感の売りをカバーして日経平均9000円前後の水準は維持できるだろう。その前提なら今週同様、鉄鋼、機械、自動車、海運など世界景気敏感株を中心に買われそうだ。(編集担当:寺尾淳)