DyDo、2012年1月期の連結業績を発表

2012年02月27日 11:00

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ダイドードリンコの代表取締役社長である高松富博氏が24日、2012年1月期の連結業績を発表した。(撮影:北尾準)

 ダイドードリンコが24日、2012年1月期の連結業績を発表した。国内全体が東日本大震災の影響による電力供給問題や、円高の進行をはじめ不透明感がより一層高まるなか、飲料業界においても大震災によるミネラルウォーターの販売数量が一時的に大きく増加する等の特需はあったが、消費者の節約志向は依然として継続。さらに低価格化が進行するなど販売競争が激化するなど厳しい経営環境のなか、同社のグループ全体での売上高は1474億400万円(前期比2.6%減)、営業利益72億9500万円(前期比11.6%増)、経常利益66億8700万円(前期比15.1%増)、当期純利益においては23億5100万円(前期比12.6減)となった。

 同社の主力である飲料販売部門では、看板ブランドの1つである「デミタスコーヒー」シリーズにおいて、販売当初からのコンセプトはそのままにフルリニューアルを実施。人気女優である篠原涼子をブランドキャラクターに起用し、積極的な広告展開を行った。もう1つの主力ブランド「ダイドーブレンドコーヒー」シリーズにおいても、最近の消費ニーズに対応すべく、スタンダードタイプ、微糖タイプ、ゼロ系タイプ、ラテタイプ、エスプレッソタイプと5つの商品バリエーションを実現し、幅広いユーザーの囲いこみとシェアの維持拡大に注力している。

 また、同社の売上の90%を占める自販機の導入についても、不採算先自販機の撤去やスクラップ&ビルドという投資効果に主眼をおいた設置ロケーションを選定し、採算性を一層重視した強固な全自販機の見直しに注力。新たに導入する自販機についても地球環境に優しい節電効果の高い「エコ自販機」の徹底した開発・採択に努めている。さらに大震災で評価された災害時における迅速で有効な支援ツールである「災害救援自販機」や収益金の一部を募金として寄付する「社会貢献型自販機」を投入するなど、地域社会や消費者に支持される新しい自販機の積極投入を実施。その結果、同部門の売上高は1378億9700万円(前期比3.1%減)となっている。

 一方、飲料受託製造部門においては、消費者ニーズがドリンク剤から健康食品やサプリメント(健康補助食品)への流れに変わった市場環境をいち早く掴み、従来のドリンク剤のノウハウを礎として、「美容と健康」を謳った女性向け商品を開発する体制を構築したことで、大手化粧品会社など多方面にわたる受注を獲得。さらに営業開発体制の強化並びに生産体制の整備が年々拡充したことに加え、昨今の経済環境の変化から大手医薬品等有力メーカーの生産スタイルが「自社生産」から「OEM生産」にウエイトシフトしたことなどにより、売上高は95億700万円(前期比4.7%増)と安定した業績を示している。

 今後も節約志向は続くものと思われ、企業間競争は益々激しさを増し、同グループにとっても厳しい経営環境は続くと考えられる。清涼飲料業界においても、このような景気後退局面では「パイの大きな拡大」を期待することが難しく、「量より質」へ傾斜が強まる一方、一層厳しい企業間競争が展開されると考えられる。また、原材料の調達の面でも不安定な要素が多く、コーヒー豆やスチール缶などの価格の変動が顕著化しており、収益確保の大きな阻害要因となっている。これに対し、様々な分野で調達方法等、対応の見直しをきめ細かく実施することで、その緩和に鋭意注力するが、現時点では利益面への影響が全く払しょくしたとは言い難い状態であることは間違いない。

 こうした中、同社グループはチャネル別営業本部体制をとり、自販機事業の維持・拡大はもちろん、コンビニエンスストアやスーパーなどの販売網を拡大する流通事業の強化・拡充を推進。コーヒー飲料を主軸として各チャネルに即したマーケティング戦略を積極的に展開し、主力商品群であるコーヒー飲料の需要喚起し、ブランドを一層強化させる。また、これらの取り組みを軸として持続的成長を実現するための「新たなビジネスチャンスの創出」にも取り組むことで、更なる収益力強化に注力していく。

 以上により、同社グループの今期の連結業績見通しは売上高1475億円(前期比0.1%増)、営業利益73億万円(前期比0.1%増)、経常利益67億万円(前期比0.2%増)、当期純利益においては31億円(前期比31.9増)としている。厳しい経営環境下における同社の取り組みと業績に、引き続き注目したい。