8億値引きに政府答弁覆す音声入手 FNN報道

2017年08月02日 08:00

学校法人森友学園への国有地売却に8億円の値引きが行われた問題で、FNNは1日、2016年5月中旬から下旬に、当時、学園理事長だった籠池泰典氏側と近畿財務局の担当者で交わされたやりとりの「音声データを入手した」とし、入手した音声データを報じた。

 それによると、池田靖国有財産統括官(当時)が売却価格について、有益費(国有地の地中にあったゴミや有害物質を取り除くための土地改良費用)の1億3200万円を下回ることはできない旨を籠池氏側に発言していた。

 FNNが入手したとして報道した音声からは、最初から1億3200万円を若干上回る価格での売却ありきで、8億2000万円が値引きされたことを疑わせるものだった。

 8億円の値引き問題を巡ってはNHKも、7月26日、近畿財務局の担当者が、いくらまでなら支払えるのかを学園側弁護士に聞き、学園側が1億6000万円を上限提示していた。そして結果的に、学園側が上限とした価格以内に収まるよう、有益費に200万円上乗せするだけの「1億3400万円」で契約された。

 二つの報道は、いずれも、佐川宣寿理財局長(当時)が国会答弁した内容を覆すものになっている。政府は国有地売却については「鑑定価格からゴミ撤去費用を差し引いて価格を出した」としてきた。「さらに、具体的価格を示しての交渉はしていない」と国会で答弁してきた。

 菅義偉官房長官は1日午後の記者会見で、こうした音声データが明らかになってきても、これまでの政府説明は正しいといえるのか、と記者団に聞かれ「今、大阪地検特捜部が捜査中なので、捜査を通じて明らかになってくると思う」と答えるにとどまり、捜査中を理由に、政府としての受け止めを回避した。

 8億円値引き問題は財務省近畿財務局職員が国有地を不当に安く学園に売却したとして背任容疑で告発され、大阪地検特捜部が告発を受理し、捜査に入っている。しかし、司法の捜査とは別に、政府として、新たな事実が提起されている以上、これについて事実関係を調べ、国民に説明する責任が当然、政府にあり、野党からの追及も厳しくなりそう。今後の動きが注視される。(編集担当:森高龍二)