ツルハHD<3391>が静岡県でドラッグストアと調剤薬局を展開する杏林堂薬局<未上場>の買収を発表した。
杏林堂薬局は静岡県浜松市を中心に77店舗を運営しており、グループ全体で17年4月期の売上高894億円の会社。尚、ツルハHDはこれまで静岡県には未出店となっている。杏林堂と17年5月期売上高5,770億円のツルハHDと合算すると、合計売上高6,664億円となる。
ドラッグストア業界首位は現在、イオングループ<8267>のウエルシアHDとなっているが、同社の17年2月期の売上高は6,231億円であり、杏林堂薬局を買収後のツルハHDの売上高はウエルシアHDの売上高を上回ることが確実であり、ツルハHDがドラッグストア最大手の地位に就くこととなる。
訪日外国人観光客の恩恵を大いにこうむっているドラッグストア業界であるが、競争は激しく業界内のM&Aは積極的に行われている。かつて業界の圧倒的No1企業はマツモトキヨシ<マツモトキヨシHD:3088>であったが、相次ぐM&AによりウエルシアHDが業界最大手の地位をマツモトキヨシより奪取。そして今回のツルハHDの杏林堂薬局の買収により、再び首位が入れ替わることとなる。
ツルハHDは9月下旬に杏林堂薬局の親会社・杏林堂HDの株式を51%取得の予定であり、商品の共同仕入れ・PB商品の共同開発・情報システムの共有等を行う計画としている。
ドラッグストア業界は、市場の伸び率が鈍化傾向にある中、出店や価格競争が激化しており、今回のツルハHDによる杏林堂薬局の買収のように、大手による地方ドラッグストアの買収が相次いでいる。本トレンドは当面継続する見込みであり、ドラッグストア首位の座を巡る争いも続くと予想される。
今回業界首位の座を明け渡すこととなったウエルシアHD及び、首都圏での強さを今も発揮しているマツモトキヨシを含めた業界の首位争いは、今後も注目を浴びることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)