世界の半導体企業がデータを提供して算出されている世界半導体出荷統計(WSTS)によると、2016年の世界の半導体市場は、世界の各地域市場、主要な電子機器において力強さに欠けたことから、3349億5300万米ドル、前年比0.1%減にとどまると見込まれる。
製品別の動きをみると、自動車や携帯通信機器向けにセンサを含むディスクリートは前年比前年比+4.2%増の193億9900万米ドルとなった。特にセンサは同22.6%増の108億1000万米ドルと大幅に成長した。
一方、ICは同0.7%減の2726億8500万米ドルと微減にとどまった。ICのうちアナログは同4.8%増の473億7900万米ドルと堅調に推移した。また、マイクロプロセサ、マイコンなどのMOSマイクロも同2.3%増の627億1900万米ドルに達するものと見込まれている。
MOSメモリは同3.8%減の743億100万米ドルとなった。MOSメモリは2015年も同2.6%減で、2年連続で前年割れとなった。2015年後半からはPC需要が停滞、供給過剰状態となったことから、価格が急落、2016年も価格は弱含みで推移した。年後半から回復したものの前年比微減にとどまった。年後半には大容量の3D構造のNAND型フラッシュメモリも投入されている。
地域別市場では、ドルベースでの前年比成長率は日本が3.2%増(321億500万米ドル)と最も高くなるものと見込まれる。しかし、これは年前半までの円高が影響したもので、円ベースでは同8.9%減(3兆4318億円)となっている。アジア太平洋地域も同2.5%増の2060億2300万米ドルにまで拡大している。
一方、米国市場、欧州市場はそれぞれ同6.5%減の642億3700万米ドル、同4.9%減の325億8600万米ドルにとどまるものと予想される。
半導体メーカー別の予想売上高ランキング(IC Insight調査)は、米Intel(2016年売上高見通し:563億1300万米ドル)、韓国Samsung Electronics(同:435億3500万米ドル)、台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)(同:293億2400万米ドル)がトップ3となっている。IntelはMPU、Samsungはメモリ(DRAM、フラッシュメモリ)、TSMCはファンドリのトップメーカーである。4位、5位にはスマートフォンなどの通信機器向けICで実績のある米Qualcomm(同154億3600万米ドル)、Broadcom(同:153億3200万米ドル)が入っている。
第6位、第7位には、韓国SK Hynix、米Micron Technologyのメモリメーカーが入っている。NAND型フラッシュメモリで安定した実績を残している東芝<6502>が第7位で、日本メーカーとして唯一トップ10に食い込んでいる。第6位には米Texas Instruments(TI)、第10位にはオランダNXP(旧名:NXP Semiconductor)が入っている。
東芝以外の日本メーカーでは、ソニー<6758>が第15位(同:64億6600万米ドル)、ルネサス エレクトロニクス<6723>が第17位(同:57億5100万米ドル)となっている。
2016年は前年に引き続き、大手半導体メーカーを主役とする大型の買収・合併(M&A)が行われた。自動車用半導体、アナログ/パワー関連がこれらの動きの核となっている。
M&Aの動きのなかでも注目されるのがNXP/NXP Semiconductorを巡る動きである。NXPは2015年12月に米Freescale Semicondutorの買収を完了、売上高も100億米ドルを突破、自動車用半導体のトップメーカーとなった。ところが2016年にはQualcommにより、総額470億米ドルで買収されることになった。買収後の売上規模は約250億米ドルに達し、TSMCに迫るものとなる。(編集担当:慶尾六郎)