若者のテレビ離れが叫ばれて久しいが、特需の反動を受け売上の停滞が続いていたテレビ国内需要もにわかに活況の流れとなっている。電子情報技術産業協会(JEITA)は2016年2月、「AV&IT機器世界需要動向~2020年までの展望~」を発表した。15年のフラットパネルテレビの世界需要は前年比103.9%の2億3,224万台。日本及び西欧においては需要の落ち込みが見られたものの、14年のワールドカップ開催に伴い市場が活性化したブラジルやインド等の新興国地域の伸長により、市場全体として需要は増加している。
16年以降は、新興国地域の成長鈍化の可能性、バックライトのLED化などの製品寿命の向上による買い替えサイクルの長期化という懸念もあるなか、オリンピック開催などを契機とし、新機能を求めて上位モデルへの買い替えが活性化し始めることなどから、世界市場は20年には2億7,167万台に成長すると見込まれている。
日本のフラットパネルテレビ市場も世界市場同様、成長が見込まれている。11年までの地デジ完全移行とエコポイント特需により10年には年間出荷台数2519万台とピークとなったが、この反動が大きく、日本市場は12年以降低い水準が続き、平均して800万~1000万台あったテレビ市場は約半分まで落ち込んだが、4K(対応)テレビは、前年比243.2%の63万台と大幅に伸長。今後は2015年から一部始まった4K実用放送など、新たなサービスへの需要拡大が進む見込みだ。
18年以降には10年、11年頃の特需の買い替え需要が見込まれるとともに、4K・8Kや放送と通信連携テレビなど新機能に対する買い替え需要もさらに高まるとみられている。
20年のオリンピックを控え、前回の大規模な特需の買い替え需要をどれ位活性化できるかが市場を大きく左右するが、日本市場は20年には1,050万台に成長するとも見込まれており、20年には4K(対応)化率も70%を超え、740万台となる見通しだ。近年では、テレビ放送にインターネット通信を連携させることでインタラクティブな要素を創出するHC(ハイブリッドキャスト)などのいわゆるスマートテレビにも注力されており、オリンピック放送との融合にも期待が高まっている。(編集担当:久保田雄城)