日銀は12日、9月の貸出預金動向調査を公表した。調査結果によれば都市銀行と地方銀行、第二地方銀行を合わせた全国銀行の9月の貸出残高は449兆3893億円となり前年に比べ3%の伸びとなり、72ヶ月連続での増加となったが、前月8月の3.2%増を0.2ポイント下回った。
内訳を見ると都市銀行等の貸出残高が210兆5675億円で前年比が2.3%、8月の2.8%より減少した。地方銀行と第二地方銀行の合計では貸出残高が238兆8218億円で前年比が3.6%、8月の前年比3.6%と同水準で横ばいであった。地方銀行と第二地方銀行の内訳を見ると地方銀行の貸出残高が189兆2530億円、前年比3.7で8月の前年比3.8%から1ポイント減少している。第二地方銀行の貸出残高は49兆5688億円、前年比3.0%で8月の前年比3.1%から1ポイント減少した。
都市銀行の伸びの鈍化は3月の2.3%と同水準の低さで6ヵ月ぶりとなる。都市銀行の貸出額はM&A(買収・合併)案件の有無や規模に影響されやすく、日銀ではM&Aのタイミングによって伸び率の鈍化が生じたと見ている。地方銀行及び第二地方銀行は合計で見ると横ばいであるが、それぞれ個別に見ると僅かに減少傾向にある。地方銀行ではこれまでアパート・ローン等の個人向け不動産投資ローンに力を入れ融資を拡大してきたが、最近になり検査で不良債権化が増加傾向にあることが明らかとなり、金融当局も貸出過剰と認識しているため融資態度が厳格化してきている。地方銀行での貸出の伸びの鈍化にはこうした背景もありそうだ。
一方、実質預金とCD(譲渡可能性預金)とからなる預金動向の調査結果を見ると、全銀行では9月平均残高が685兆584億円で、前年比4.5%で前月8月の4.4%より1ポイント上昇している。都市銀行では残高が351兆4417億円で前年比が6.5%、8月の6.3%から2ポイント上昇している。地方銀行と第二地方銀行の合計では残高が333兆6167億円、前年比2.5%で8月の2.6%から1ポイント低下している。地方銀行と第二地方銀行を各々に見ると、地方銀行の残高が265兆7262億円、前年比2.5%で8月の2.6%から1ポイント低下した。第二地方銀行では残高が67兆8905億円で前年比2.2%、8月の2.3%から1ポイント低下した。
全体としては今時の緩やかな景気回復に合わせるように貸出動向も預金動向も増加傾向で堅調に推移している。(編集担当:久保田雄城)