内閣府は3日、9月の「消費者動向調査」の結果を公表した。本調査によれば消費者心理を示す「消費者態度指数(2人以上の世帯:季節調整済み)」は43.9となり前月と比べ0.6ポイントの上昇となり2ヵ月ぶりにプラスに転じた。前月8月の指数が43.3で7月の43.8からマイナス0.5ポイントと低下したが、これは8月の豪雨や長雨の影響と見られており、東北や北陸地方を中心にこの影響から回復し、9月は7月より1ポイント高いレベルに回復した。
「消費者態度指数を構成する意識指標」の各数値を見ると、「暮らし向き」が42.5と前月差プラス0.8ポイントの増加、「収入の増え方」が41.8と前月差プラス0.5ポイント増加、「雇用環境」が47.8と前月差プラス0.4ポイントの増加、「耐久財の買い時判断」43.5で前月差プラス0.9の増加、「資産価値」が42.9で前月差マイナス0.1の減少となった。
「消費者態度指数を構成する意識指標」の中では「耐久財の買い時判断」がプラス0.9ポイントと最も高い上昇を示し、ついで「暮らし向き」のプラス0.8ポイントとなっている。「収入の増え方」が前月差プラス0.5ポイント、「雇用環境」についてはプラス0.4ポイント、であるが、このところの有効求人倍率も高い値を継続しており、「暮らし向き」の前月差プラス0.8ポイントという高い値につながっていると思われ、内閣府は「消費者マインドは堅調」と判断しているが、基調判断「ほぼ横ばい」は据え置いた。
また同調査の中で76%の消費者が「1年後に物価上昇する」と回答し、その大勢を占めており、季節の変わり目と暮らし向き、将来物価への上昇期待から消費態度に回復の兆しが現れたものであると考えられる。宅配便や食料品その他の身の回り品の値上げを受けて多くの消費者にインフレ期待が表れ消費の前倒しが始まったとも考えられる。
現在、日本のマクロ経済は設備投資を牽引役として緩やかな回復を持続しているが、消費者態度が長く弱含みであった。日銀が目標としている消費者物価指数プラス2%目標も達成されておらず、この消費者のインフレ期待による暮らし向きの改善を背景とした消費者態度の回復は今時景気回復をより底堅いものとする可能性がある。(編集担当:久保田雄城)