G20開催。世界経済の成長を確認するも「リスク」を警戒~黒田総裁

2017年10月21日 09:42

画・G20開催。世界経済の成長を確認するも「リスク」を警戒~黒田総裁

12、13日、G20が米ワシントンで開催された。会議では世界経済の堅調な成長を確認された。会議後の記者会見で黒田総裁は北朝鮮や中東の情勢を念頭に「世界からのリスクも警戒すべき」と訴えた。

 12、13日、G20(20か国・地域 財務大臣・中央銀行総裁会議)が米ワシントンで開催された。日本からは黒田東彦日銀総裁と浅川雅嗣財務官が出席した。麻生太郎財務相は選挙中のため欠席した。

 会議では、世界経済の先行きやリスク要因が議論され、日米欧その他の世界経済が安定成長にあることを確認するとともに、この景気回復においてアメリカやEUなどで予定されている利上げや緩和縮小など正常化プロセスがマーケットにどのように影響し、どのようなリスクを持つかについても話し合われた。

 黒田東彦日銀総裁は開会前の会見において緊迫する北朝鮮や中東情勢を念頭に「世界経済は非常に順調に成長しているが、いろいろな不確実性もあるはあり得る」とも語った。日銀の金融政策については、日本は2%物価目標の達成に向け、引き続き強力な緩和政策を継続することを各国に説明すると述べた。またETFの買い入れについては「東京証券取引所の時価総額3%程度の株式をETFというかたちで買っているが、これ自体、非常に大きなシェアになっているわけではない」とし日銀の政策が株式市場に大きな影響を与えるものでないことも説明し各国の理解を得た。

 また、政府の財政政策に関しては、19年10月に実施される消費税の8%から10%への引き上げなど日本政府の財政再建への取り組みを示しながら、2020年度までの目標であったPB(基礎的財政収支)の黒字化について先送りするという安倍総理の方針を説明した。これに対しては各国から特に異論は提出されなかった。

 黒田総裁は会議後の会見で「(日本の金融緩和の継続については各国の)十分な理解が得られている。金融政策はそれぞれの国のマンデート(付託された任務)に基づいて行われる。わが国の金融政策について批判のようなものは出なかった」と語った。

 米国の利上げ等の正常化に伴うリスクに関しては、浅川財務官によれば「「影響が出る可能性についてIMF(国際通貨基金)が基調報告で指摘し、討論で異論は出なかったので、一般的にリスクと認識されていると思う」と語った。

 今回は7月の首脳会議で、すでに幅広い分野での合意が得られていることから、共同声明の採択を見送った。会議に出席した財務省幹部によると、前回のような(トランプ政権の保護主義に関連し)貿易や為替などに関する議論はなかったという。(編集担当:久保田雄城)