スズキは、英国の燃料電池システムの開発企業であるインテリジェント・エナジー社(以下IE社)を傘下に持つ、インテリジェント・エナジー・ホールディングス社(以下IEH社)と、「株式会社SMILE FCシステム(以下SMILE FC)」を設立すると発表。出資比率はスズキとIEH社それぞれ50%、本社を静岡県浜松市のスズキ本社内、研究施設をスズキの横浜研究室に設置し、次世代環境車のひとつである燃料電池を搭載した二輪車・四輪車の開発、製造に本格的に乗り出した。
スズキとIE社は、2007年、2009年、2011年の東京モーターショーに空冷式燃料電池システムを搭載した二輪車を出品するなど、これまでも共同開発を進めていた。さらに2011年3月には、「バーグマン フューエルセル スクーター」が、二輪車、四輪車の燃料電池を搭載した車両としては世界で初めて、全てのEU加盟国で販売することが可能な欧州統一型式認証を取得するなど、燃料電池システム搭載車の開発・販路開拓を進めてきた。そして、この度の合弁会社設立により、IE社が持つ燃料電池の開発技術と、スズキの制御技術と量産技術を組み合わせて製品化を加速させ、軽量、コンパクトで低コスト化が見込める空冷式燃料電池システムをはじめとした、燃料電池の量産技術の開発、製造および、燃料電池部品のグローバルなサプライチェーンの開拓と燃料電池車の普及に努めていくとのこと。
プリウスをはじめとする環境自動車の普及が進む中で、出遅れている観のあるスズキ。現在市場に投入されている電動スクーターも、普及が進み広く認知されているとは言えないであろう。静かで環境にも優しく、家庭での充電も可能といったメリットがある一方で、既存車と比べると高価格であり、走行距離にも未だ難がある。さらには、充電スタンドなどのインフラ整備が進んでいないこともその理由であろう。スズキあるいは新会社が、一社で出来ることではないが、低コスト化や製品化などの加速と同調して、燃料電池用のインフラ整備を積極的に進める諸策が普及のカギを握るのではないだろうか。