2017年の流行語大賞にも「忖度」とともに年間大賞に選ばれた「インスタ映え」。今や空前のブームとなっている「インスタグラム(Instagram)」から派生した新語だ。
写真を撮影、加工、共有できるスマートフォン向けアプリとしてスタートしたインスタグラムは、SNSとしての機能も充実しているほか、2013年6月から動画も投稿可能になったこともあり、一気に人気が爆発した。今や日本国内の利用者数だけでも2000万人を超え、世界では8億人ものユーザーを誇る巨大サイトに成長した。とくに20代・30代の若い世代には、フェイスブックやツイッターよりも人気が高い。
インスタ人気の秘密は、写真を魅力的に掲載できることだろう。他のSNSと異なり、投降した写真は自動的に正方形のフレームに変換されて表示される。これが、なんともオシャレに見えるのだ。また、芸能人やモデルも大勢活用しており、他のSNSに見られるような素人の日記投稿的な雰囲気とは一線を画しているところも、若い世代に受けているとみられる。
インスタ人気のもう一つの秘密は、企業やショップが積極的に活用している点にもある。
お気に入りのブランドやショップ、または企業の最新情報などが頻繁に更新されているので、雑誌を見ているような感覚に陥ることもある。また、インスタでしか発信されていない情報なども大きな魅力だ。
例えば、日本でもオシャレカフェの代表格になった「Starbucks」の アカウントでは、そこに投稿されている画像のほとんどがフォロワーからのものだ。Starbucksはちょうどインスタ世代と被る客層なので、感覚的にもマッチするのだろう。店側としても、自社の店舗をロケーションに商品やサービスを投稿してもらうことで、ターゲット層へのアピール力は絶大だ。
化粧品ブランド「sephora」のアカウントでは、ファッション雑誌を開いたような美しい写真だけではなく、同社の商品によるメイクアップテクニックなどを写真と動画で掲載するなど、実用的な投稿も行っており、女性を中心に多くのフォロワーを獲得している。
ファッション系の企業やショップが多い中でも異彩を放っているのが、「The Greats Brand」のアカウントだ。同社はオンライン限定でスニーカーを販売しているが、インスタではあえて、自社以外の製品や、ファッションとは関係のないバイク、車、スポーツなどの投稿を頻繁に行っている。他社に見られるような自社製品の宣伝活用ではなく、同社のターゲット層にアプローチして見込み客を獲得するのが目的のようだ。
また、中には住宅メーカーのアキュラホームのように、面白い試みをする企業も現れ始めた。
同社では、インスタグラムで多数のフォロワーを持つ、いわゆるインスタグラマーといわれるユーザーを講師に招き、同社住宅のオーナー向けにSNSイベントを開催した。
イベントでは、インスタグラマーが収納術や時短クッキングなど、暮らしに役立つノウハウをオーナーに伝授。その様子をインスタグラムでも紹介している。
特別な場所に出掛けなくても、インスタ映えする写真が撮れるコツを教えてもらって、参加した住宅オーナーたちも満足していたようだ。
流行語大賞にも選ばれたことで、まだまだ白熱しそうなインスタブーム。個人利用もさることながら、今後は企業の活用にも拍車がかかりそうだ。2018年にはまた、今までになかった新しいタイプのインスタページや、アイデア満載の活用法がみられるかもしれない。(編集担当:石井絢子)