観光庁は16日、観光統計、平成29年年間値(速報)を公表。2017年の訪日客数は2869人。消費金額は4兆4161億円で4兆円を突破。前年比17.8%。伸び率から20年の目標、年間4000万人が現実的に。
観光立国化が順調なようだ。2006年、観光立国推進基本法が制定された。これは、アジアその他の新興国を中心に世界経済の急成長が起こる中、世界の観光需要を引き込み、地域的に均衡のとれた国内経済の成長を促し、日本経済の再生を図る目的で制定されたものだ。その後、20年の東京オリンピック開催決定を受けて、目標値が年間2000万人と定められたが、既にこの目標値を実現し、現在、20年までに年間4000万人が目標値として掲げられている。
観光庁が16日に公表した「訪日外国人消費動向調査」によれば、17年の年間訪日客数は2869万人と推計され、16年の2404万人を465万人上回り、伸び率は19.3%の高い値となった。このままの伸び率が維持されれば19年中にも年間4000万人に近づく計算になる。
経済効果について見てみると、17年中の訪日客の旅行消費額は過去最高の4兆4161億円で、昨年の消費額3兆7476億円を6697億円上回り、前年比17.8%と高い伸び率となった。しかも、全ての四半期で過去最高額を記録しており、訪日需要は特殊要因による増加ではなく、傾向的・安定的に成長していると言える。
国籍・地域別に訪日客の旅行消費額を見ると、中国が1兆6946億円で最も多く、構成比は38.4%と4割近くに達している。次いで、台湾の5744億円(構成比13.0%)、韓国が5126億円(同11.6%)、香港3415億円(同7.7%)の順となっており、中国、台湾、韓国、香港の4国・地域で全体の70.7%を占めている。16年と比べ構成比に大きな変化は見られない。
1人当たりの旅行支出の推移を見ると、15年の17.6万円をピークに16年の15.6万円、17年には15.4万円となっており頭打ち感が見られる。先の主要4カ国・地域で16年と17年を比較すると、韓国が2.2%増と微増傾向である一方、台湾(0.0%減)、香港(4.5%減)、中国(0.5%減)と減少または横ばい傾向となっている。
費目別に消費額の構成比を見ると、宿泊料金が28.2%、飲食費20.1%、交通費11.0%、娯楽サービス3.3%、買物代37.1%、その他0.3%となっており、買物が4割近くを占め、小売りレベルでの経済効果も大きい。
近年、訪日客のインバウンドが好調である背景には、世界経済の回復傾向、特に中国における予想を上回る上振れ回復があると言えよう。この中国の回復には日本の経済界が大きく貢献している。観光立国化をさらに成長させ、これを維持するためにも引き続き日中の経済協力が重要であると言える。(編集担当:久保田雄城)