観光庁の統計によれば、訪日客の7-9月期の消費額は1.2兆円で前年比26.7%の大幅な伸びを示している。規制緩和により、団体から個人旅行への変化も見られ、観光庁では年間4兆円を超える市場になることは確実とみている。
観光庁は18日、17年7-9月期の「訪日外国人消費動向調査(速報)」を公表した。調査結果によれば7-9月期の訪日外国人消費額は1兆2305億円であり、前年比26.7%の大幅な増加であった。17年の1-3月期が9679億円、4-6月期の消費額が1兆776億円であり上半期の累計で2兆円を初めて超えており、今回も1兆円を超えているため、観光庁としては17年の年間累計額が4兆円を超えることは確実とみている。
訪日客消費の増加の背景には中国はじめ東アジアからの訪日客の増加がある。今年の中秋節は10月にずれ込んだが、査証発給要件の緩和に伴う個人旅行の増加や、訪日クルーズ寄港数の増加、格安航空便の増発などを背景に9月も順調に訪日客は増大、従前の団体客の爆買いから個人の訪日客の1人あたり消費額が増大した。
訪日客数は14年1-3月期に287万人だったものが17年7-9月期には744万人と増加し、消費額は14年1-3月期が4298億円、17年7-9月期に1兆2305億円と人数、額ともに趨勢的に3年ほどで2倍以上に増加している。一人当たりの消費額は15年7-9月期の18.7万円をピークに減少傾向に転じたが、16年10-12月期の14.7万円を底に増加傾向に復調している。
17年7-9月期の国籍・地域別に消費額をみると中国が5432億円とトップであり、構成比は半分近い44.1%を占めている。次いで台湾の12.1%、韓国11.1%、香港7.6%となっており、中国、台湾、韓国、香港の東アジア4国/地域で74.9%となっている。消費額の内訳をみると、買物代が34.2%と最も多く、次いで宿泊料金 (29.7%)、飲食費(21.1%)、交通費12.1%、娯楽サービス費3.3%、その他の順となっている。
訪日外客数を18日発表された政府観光局の資料でみると、17年9月の訪日外客数は228万0人で、その内訳は中国が67.8万人、韓国が55.7万人、台湾が34.8万人、香港が5.6万人となっており、これら東アジアの4国・地域で76.7%を占めている。
政府は東京オリンピックが開催される2020年までに訪日客人員4000万人、消費額8兆円の市場を目標として掲げているが、この目標と比べると未だ半分程度ではあるというものの、確実に増加傾向にあり、日本は一歩一歩実績を上げ、観光立国としての目標に近づいていると言える。(編集担当:久保田雄城)