総合家電メーカー大手の2012年3月期の業績が発表されたが、各社、予測を上回る大幅な赤字業績となっている。
ソニーは2日、2012年3月期の連結業績(米国会計基準)で、純損益が従来予想の900億円を上回る2200億円の赤字に拡大するとの見通しを発表した。純損益赤字はこれで4期連続となり、2595億円の赤字であった11年3月期に続き2期連続で赤字額が2000億円を超える。この要因としては東日本大震災や急激な円高・ユーロ安、そしてタイの洪水被害の影響が挙げられる。なかでもタイの洪水による影響額は保険適用前と言うこともあり、昨年11月時点に予想した約250億円から3倍近い約700億円に拡大。さらに、国内や欧米の販売不振も多大に影響し、売上高は6兆4000億円に、営業損益は950億円の赤字に下方修正している。また、今回の赤字拡大には、韓国電機大手であるサムスン電子との液晶パネル合弁事業の解消に伴う株式評価損計上も大きいと推測される。
シャープも2012年3月期の連結業績予想を下方修正。昨年10月には60億円の黒字を予想していたが、最終損益は2900億円の大幅赤字となる。これはリーマン・ショック直後の09年3月期に記録した1258億円の赤字を大きく上回る、過去最大の最終赤字となる。この大幅な修正の最大要因は、国内の液晶テレビの予測以上の販売減やパネルの採算悪化によるもの。エコポイントによる特需などの反動はあると認知していたが、はるかに予測を上まわる厳しい数字を受け、同社は急務な事業構造改革を推し進めている。
またパナソニックの12年3月期の連結最終赤字も7800億円となる見通しとなった。これは02年3月期の4277億円を上回る過去最悪の水準。同社は三洋電機、パナソニック電工と統合し新体制での始動のために、今期の最終赤字で一気に処理し、環境・エネルギー事業を軸に再起を図る。さらに富士通や東芝も下方修正を余議なくされており、NECは最終赤字に転落すると発表している。
ここ数年の景気悪化による販売不振だけでなく、様々な自然災害などの要因が重なったことあり、史上最悪の決算期を迎えた総合家電メーカー。企業統合や組織再編、新製品の開発などのより、打開策を見出す努力はしているが、何重苦もの不況要因を考えると、再建がいばらの道であることは間違いないだろう。