2020年の東京オリンピックも近づき、人手不足感が高まる中、建設業は公共事業、民間再開発ともにラストスパートに入ったようだ。
16日、国土交通省は建設総合統計2017年12月分を公表した。12月の出来高総計は、5兆548億円で、前年同月比5.4%の増加であった。17年4月から12月まで全ての月で前年度を上回っており、17年度ベースで50兆を有に上回り昨年度を超えることは確実だ。
出来高の内訳を見ると、民間総計は2兆8903億円で前年比6.0%の増加、公共総計は2兆1645億円で4.6%の増加となった。この内、民間建築の居住用が1兆4376億円で前年比2.1%の増加、同非居住用が9161億円で同10.1%の増加、土木が5367億円で同10.1%の増加となっており、建築の非居住用と土木の寄与が大きくなっている。
公共部門では、建築の居住用が471億円で前年比15.9%の増加、同非居住用が3054億円で同7.0%の増加、土木が1兆8119億円で同4.9%の増加となっており土木が大きく増加に寄与している。
地域別では全国の地域で増加となっているが、中でも関東が1兆7927億円で前年比7.6%増と金額と伸び率の双方が大きくなっており、これはオリンピック関連の影響と想像される。
17年の内訳の増加額を16年の出来高総額で除した寄与度の推移を見ると、16年度後半から民間非居住用と土木の寄与度が大きくなっている。また、16年度まではマイナスで推移していた公共の土木が17年度に入ってから大きなプラスに転化しており、これはオリンピックに向けて消化の速度が上がったためと考えられる。
未消化部分である手持ち工事高の推移を見ると、報告書にある過去5年で未消化部分の額は増加傾向で推移している。16年度まで手持ち工事高の前年同月の伸び率は増加傾向であったが17年度に入り減少傾向に変化した。これは消化の速度が速まったことを意味しているが、17年12月時点で7%を上回っており、未消化工事は未だ積み増し傾向である。
建設業の求人倍率は極めて高い水準を維持しており、人手不足が深刻化する中、いかに消化速度を上げていくかということが建設市場での課題のようだ。(編集担当:久保田雄城)