「カンナがけ」から、アンドロイド社員まで!? 2018年の個性豊かな入社式

2018年04月07日 14:43

画・上場企業1005社、過去最高益を達成

新年度をスタートした多くの企業で入社式が行われ、新入社員たちの門出を祝った

 桜舞う穏やかな陽気となった4月初週。新年度をスタートした多くの企業で入社式が行われ、新入社員たちの門出を祝った。

 入社式といえば、真新しいスーツに身を包んだ新入社員の前で、ふんぞり返った社長がもっともらしい訓示をたれる姿を想像してしまうが、昨今はそんな入社式ばかりではないらしい。

 例えば、今年135名の新入社員を迎えたアキュラホームでは、同社の恒例となった「カンナがけ入社式」が今年も催された。これは、木造住宅を生業とする同社の基盤ともいえる大工仕事の象徴ともいえるカンナがけを通して、新人たちに「匠の心」をはじめとする企業の精神に直に触れてもらおうと、2006年より導入されている名物行事で、法被を纏った宮沢俊哉社長自らがカンナがけの手本をみせ、その後、新卒新入社員が体験する。

 新入社員のほとんどがカンナ初体験。拙い手つきで木の表面を整えたりする作業の中で、緊張した新人たちの顔にも、思わず笑顔がこぼれる。伝統的な日本の技術を体験し、五感を通して木の良さを知ることは、商品に深い愛着と自信を持つかけがえのない機会となるのではないだろうか。

 一方、そんな伝統とは真逆の入社式の光景が見られたのは日本テレビだ。同社では、4月1日付でアンドロイドのアオイエリカ(AOI ERICA)が“アンドロイド局アナ”として入社。2日に行われた入社式にも参加した。アオイエリカはすでに昨年9月、同社の報道番組で司会者デビューを果たしており、大きな話題をよんだ。入社式では「世界に向けて日本の魅力を伝えられるアンドロイドアナウンサーとして活躍したい」と流暢な日本語でのスピーチを行った。同社の福田博之編成局長はメディアに対し、アンドロイドは人間の代替ではなく、共に働くことで生まれるクリエイティビティの拡張だと述べ、近未来のメディアの可能性を語った。

 また、千葉県の舞浜アンフィシアターで盛大な入社式を行ったのは、売り手市場と言われる昨今の就活市場でも群を抜いて女子学生からの人気が高い、化粧品大手の資生堂だ。同社の入社式は、魚谷雅彦CEOが会場の通路に立ち、700人を越える新入社員全員をハイタッチで出迎えることからはじまり、舞台に立った魚谷CEOの熱いプレゼンテーションの後、ステージの真ん中がせり上がり、和太鼓が登場。フラッグセレモニーとの豪華なパフォーマンスが繰り広げられた。更には、資生堂のCMを務めるタレントたちが次々と登場し、会場を大いに沸かせた。そして最後には、新入社員全員が一人5秒の持ち時間で、抱負を語る機会も設けられ、完成された上質なイベントやコンサートのような入社式となった。同社がこれほどまでに入社式に注力するのは、おそらく、新入社員を歓迎するだけでなく、社員の企業への愛着を深めたり、次の就活生へ向けてのアピールなどの意図もあるのではないだろうか。
 
 いずれにしても、入社式の様子を見ていると、企業の様々な社内イベントの中でもとくに、その企業の社風や理念、そしてこれからの未来への展望がみてとれる。個性的な入社式でなければならないということはないが、個性的な入社式を行っている企業のほとんどで、経営陣からの並々ならぬ熱い思いが感じられるのも確かだ。新入社員たちには、その思いをしっかり受け取ってほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)