ペットフード協会によると、平成23年度の犬の飼育世帯率は17.7%で、1193万6000頭もの犬が飼育されているという。さらに、犬全体の平均寿命は13.9歳となっており、1980年時点では3~4歳、1989年には10歳前後であったことと比べると、大幅に寿命が延び、高齢化が進んでいる。こうした中、高齢化に伴う介護や肥満といった問題も顕著になってきており、人と変わらぬ扱いでペットの健康を管理するサービスが増加傾向にある。
11月28日に富士通が発表した、愛犬歩数計「わんダント」を活用したクラウドサービスの提供開始は、その最たる例であろう。このサービスは、同社が携帯電話で培ったセンシング技術を応用した犬専用の歩数計「わんダント」を犬の首輪に装着することで、歩数や震え(ぶるぶる動作)、温度変化のデータを自動で測定・蓄積。スマートフォンやパソコンを近づけるだけで、FeliCa通信によりデータをクラウド上に集約し、専用のWEBサイトでグラフとして閲覧が出来る。また、食事の量や糞の状態、その日の体調などを記録する日揮機能も搭載されているため、犬の健康管理やコミュニケーションに役立てることが出来るという。さらに、ペットの健康データをクラウドで一元管理することが出来るため、動物病院や研究機関との情報共有や連携も容易となり、安心なペットライフをサポートするものとなっている。同社は2015年度末までにサービス利用40万IDの獲得を目指すとのこと。
ペット用の霊園紹介サービスや嗜好性の高い贅沢なペットフードなど、商品・サービスは目に見えて増加しており、まさに「お犬様」状態である。加えて、飼育意向のある人は、犬に限ってみても33.1%に上っており、矢野経済研究所の調査によると、ペット関連市場は2011年度に1兆3941億円見込みだったものが、2012年度には1兆4086億円へと拡大すると予測されている。前出ペットフード協会のデータによると50・60歳代で飼育率が高いことから、この市場もシニア世代が牽引するのであろうが、少子高齢化が進み、これらの世代の年金や保険料を負担するのは若年層であることを考えると、市場の拡大を手放しでは喜べないであろう。市場の拡大を歓迎すべきか否か、賛否が分かれるところではないだろうか。