外務省は岸田文雄外務大臣の大臣就任後、初の沖縄訪問での仲井眞弘多知事らとの会談概要を17日までに公表した。今月15、16の2日間、訪問していた。
それによると、仲井眞知事は「在日米軍基地問題に関して、現在も沖縄には多くの在日米軍施設・区域が所在し、米軍関係者による事件・事故、騒音等の問題で目に見える改善が実感できない」とし、政府としての一層の取り組みを要請。
普天間飛行場については「1日も早く県外移設を進め、跡地利用を可能にしてほしいと考えている」旨が伝えられた。
これに岸田大臣は「外務大臣就任後、初の沖縄訪問であること、沖縄戦没者墓苑等を回って歴史の重みを改めて実感した」ことを伝えたうえで「先月18日のクリントン国務長官との会談で自分(岸田大臣)から普天間飛行場移設を含む米軍再編について新政権として現行の日米合意に従って進め、沖縄の負担軽減を実現していく」旨を述べ、「嘉手納以南の土地の返還について日米両国で統合計画の作成作業を加速化させることで一致した」ことを伝えたという。
また岸田大臣は「普天間飛行場移設の固定化はあってはならず、同飛行場の移設については沖縄の声に耳を傾けながら取り組んでいく」。「MV-22オスプレイについては厳しい目が向けられていると承知しており、運用に際して安全性に万全を期するよう米側との間で必要な協議を行っていく」考えを示したとしている。
佐喜眞淳宜野湾市長との意見交換では佐喜眞市長から「普天間飛行場の固定化はあってはならず、負担軽減と危険性除去という原点を忘れず早期返還に取り組んでほしい」と要請があった。あわせて「普天間飛行場周辺の住民は騒音(特に夜間飛行によるもの)や基地から放出される電波による地デジ放送の受信障害等により不便な生活を強いられており、政府全体で取り組んでほしい。オスプレイについては夏に更に12機が配備予定とのことだが配備を見直してほしい。日米地位協定についても見直しに外務省として取り組んでほしい」との要請があったとしている。
岸田外務大臣は在沖縄四軍調整官代理ピーター・タレリ少将との意見交換で「我が国周辺の安全保障環境が厳しさを増している」として「日米間で今後とも緊密に連携していきたい旨を伝えるとともに騒音への対応、事件・事故の防止、オスプレイの運用の安全性の確保等といった具体的な問題にきちんと対処するよう申入れを行った」。
一方、タレリ少将から騒音については「1996年の騒音規制措置に関する日米合同委員会合意を遵守し地元への影響の軽減に努めていく」。事件・事故については「在日米軍が新たなリバティ制度を公表したところであり、制度に基づいて事件・事故の防止に努めていく」。オスプレイについては「昨年9月19日の日米合同委員会合意を遵守し、飛行運用の安全性の確保に引き続き取り組んでいく」旨が述べられたとした。(編集担当・森高龍二)