トヨタ、東南アジア配車サービス大手Grab社と協業拡大、同時に出資

2018年06月18日 06:47

Toyota_Grab

Grab社とトヨタの協業スキームのイメージ

 トヨタ自動車は、東南アジアにおける配車サービス大手Grab Holdings Inc.と、東南アジアにおけるモビリティサービス領域の協業深化に合意するとともに、両社の一層の関係強化のため、トヨタがGrab社に出資することを決定したと発表した。出資額は10億ドル(約1100億円)だ。

 同時に、意思決定の迅速化のため、トヨタから1名がGrab社の取締役に就任、さらに1名をGrab社の執行役員として派遣し、人材交流の活発化を図る。

 Grab社は、東南アジア8カ国217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービス、レンタカーサービスなどを展開しており、本年3月には競合関係にあったUber社の事業譲渡を受け、同地域において圧倒的シェアを有する企業だ。

 トヨタとGrab社は、2017年8月から、Grab社の保有するレンタカー100台に、トヨタが開発した法人車向け通信端末「TransLog」を搭載し、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラである「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集された走行データを活用した、Grab社向けのコネクティッドサービスの開発を進めてきた。

 既に、現地の保険会社を通じ、シンガポールのGrabレンタカー全車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供するなど、コネクティッド分野における両社の協業が始まっている。

 今後は、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化と車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービスや、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを東南アジア全域に拡大することを狙うために今回の協業拡大となった。

 今回の合意により、両社は東南アジア全域において、これまで開発してきたサービスを本格的な普及フェーズに移行させ、より効率的な配車ビジネスを実現するとともに、将来の新たなモビリティサービスやMaaS車両の開発においても検討を開始する。

 今後もトヨタは、Grab社とそれぞれが培ってきたノウハウやサービス、技術を生かし、東南アジア地域の人々の暮らしに役立つ快適なモビリティ社会の創造に貢献していくとした。(編集担当:吉田恒)