日本組織内弁護士協会によれば、企業内で働く弁護士の数は2007年に188人だったのに対し17年には1931人で10倍以上に増加した。後も企業内弁護士を社員として雇用する企業は増加していくことが予想される。
日本組織内弁護士協会によれば、企業内で働く弁護士の数は2007年に188人だったのに対し17年には1931人で10倍以上に増加した。企業内弁護士を社員として雇用している企業は07年の104社に対し、17年は937社とこちらも9倍に膨れ上がった。社員として働くのではなく、法律事務所等に籍を置きながらパートタイムで企業内弁護士として勤務している弁護士が多数いることを踏まえると、この数はさらに増えると考えられる。
企業内弁護士を社員として雇用することは企業にとってもメリットが大きい。企業内弁護士といっても業種や年齢、経歴などによって求められる業務内容は大きく異なる。場合によっては企業内弁護士に対し訴訟案件において企業の代理人としての働きを求めないという企業も存在する。それでも自社の業務内容を深く理解したうえで法律的なアドバイスを与えてくれる企業内弁護士の役割は企業にとっても大きい。
契約書のチェック、契約交渉、コンプライアンス体制の構築、企業買収など、大小さまざまな業務を企業内弁護士は請け負っている。訴訟が起こった場合、企業内弁護士は訴訟以外にも再発防止策の実施などの業務が期待される。加えて企業にとって最も重要な機密情報についても、社員として企業内弁護士を雇用していれば漏洩の心配がなくなるというのもメリットだ。今後も企業内弁護士を社員として雇用する企業は増加していくことが予想される。
実際大企業においても企業内弁護士の数は増加している。17年に国内企業でもっとも企業内弁護士を雇用していたのはヤフーで28人だった。続いて野村證券<8604>や三井住友銀行、三菱商事<8058>の20人、丸紅<8002>やみずほ銀行の15人と続く。今後も企業の訴訟リスクが減少するとは考えにくく、企業のグローバル化は進んでいくので企業内弁護士の需要はいよいよ高まるばかりだ。企業が法的な問題を回避しつつ成長を続けていくために、今後も企業内弁護士の活躍に期待したい。(編集担当:久保田雄城)