自動車の完成検査、厳格化へ

2017年11月30日 06:17

画・自動車の完成検査、厳格化へ

自動車の完成検査を無資格者が行っていたという問題を受けて、国土交通省が完成検査制度の見直しをする検討会を立ち上げた。自動車メーカーにまかせていた完成検査をより厳格化し、不正を防ぐことが狙いだ。

 日産自動車<7201>とSUBARU<7270>が自動車の完成検査について無資格者が検査を行っていた問題を受けて、国土交通省では新車の完成検査制度を見直す検討に入った。これまで、新車の登録における完成検査についてはそれぞれの自動車メーカーに検査方法を任せていたが、その結果無資格者による完成検査が行われていたという問題が発覚し、検査方法そのものを見直すとの判断となった。

 国土交通省が自動車の完成検査制度を見直す検討会は、弁護士ら有識者に国土交通省の担当者を交えて構成され、年度内に完成検査の内容についての結論を出すという。自動車の完成検査についてはこれまでにそれぞれの自動車メーカーが行っていたが、この「メーカーまかせ」の結果ルールを無視するといったケースが横行し、結果的に自動車の安全性そのものを損なう事態にまでなりかねない。この検討会では、自動車の完成検査そのもののあり方を考え、より厳格な規定にシフトしていく可能性もある。

 自動車の完成検査をこれまで自動車メーカーにまかせていたのは、検査の手順について国が個別に定めることが難しいためだ。たとえば自動車の車種は現在では非常に多岐にわたっているし、自動車メーカーごとに生産工程やその工場についてもそれぞれ異なっている。一律に基準を設定することは規制をいたずらに増やすだけであり、現実的ではないとの判断からである。確かに国がそれぞれの車種ごとに1台ずつ完成検査をしチェックをする、というのは少し難しいだろう。かといって、検査をしなければしなかったでその自動車の性能に大きく関わってくる。

 完成検査の目的とは、国土交通省に対して新車を登録するということもさることながら、その自動車が安全に走行できるかどうか、という点も大きく関係している。従って、国土交通省の想定する完成検査制度の見直しでは、完成検査そのものの仕組みを残しつつ、新たな枠組みを考えるという方向で調整されると予想できる。また、無資格者による完成検査という問題が起こった要因が曖昧な規定にあったとする意見もあるため、明確な規定のもと完成検査制度を見直すという議論も欠かせない。自動車メーカー各社にとってはコスト増などで頭を悩ませる部分ではあるが、完成検査を行う本当の目的は何かということを今一度見直し、そのうえで襟を正す必要があるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)