インターネット広告などへのシフトが見られ、電通の調査によると、2011年は前年比99.5%と微減となったテレビ広告費。しかし9月の番組CMは前年同月比101.3%、10月も同108.6%とやや回復基調となっており、下げ止まりの傾向が見られる。こうした中、ゼータ・ブリッジが「2012年10月の関東民放テレビ局のCMオンエア実績を集計したランキングを発表した。
企業別オンエアランキングでは、花王が7月以来の1位となり、2位は前月1位の興和、3位にはハウス食品が続いている。なお、素材別オンエアランキングでは興和の「コルゲンコーワIB錠TX」が、商品別オンエアランキングではディー・エヌ・エーの「モバゲー」が、出演者ランキングではAKB48がそれぞれ1位となっており、素材別オンエアランキング以外は2位以下に大差をつけた結果となった。一方、CM総合研究所による2012年10月度銘柄別CM好感度トップ10には、1位がソフトバンクモバイル、2位はユニクロ、3位にKDDIがランキングされており、同トップ10と企業別オンエアランキングの上位10社ではあまり共通する企業は見られない。
テレビCMのオンエア数は、その企業の業績の好調さを反映しているように感じられる。しかし、企業別オンエアランキングの上位3社のうち、上場をしていない興和を除いた2社は、共に直近の決算にて減収減益となっており、オンエア数が必ずしも企業の好調さを表しているわけではないようである。一方、好感度の上位3社に関しては、3位のKDDIは減収減益となったものの、ソフトバンク が第2四半期決算に手7期連続で最高益を達成するなど好調さを維持、2位のユニクロを擁するファーストリテーリングの2012年8月期決算も、売上高・利益ともに2ケタ増となっている。
誰もが当然と思っていることとはいえ、テレビCMは「量よりも質」ということが如実に現れた結果と言えるであろう。インターネット広告が拡大し、SNSとの連携等が進む中、テレビCMの市場がどのように変遷し、企業の業績へと繋がるのか。過渡期とも言える時期であるだけに、注目が集まるところであろう。