オウム真理教のよる一連の事件を受けて、法務省は死刑が確定している13人のうち、7人に対し6日、刑を執行したのに続き、残り6人に対しても26日執行した。上川陽子法務大臣は「慎重の上にも慎重を期し対応した」と強調。
一方で刑は「報応でなく、教育であるべき」との立場から死刑廃止論や死刑反対の声がある。上川法相はさきの刑執行時にも記者団から死刑制度の存廃を検討する考えがないのかの問いに「死刑制度の存廃については我が国の刑事司法の根幹に関わる大変重要な課題であり、国民世論に十分配慮しつつ社会においての正義の実現等、種々の観点から慎重に検討すべきものであると思っている」とした。
そのうえで「国民世論の多数は極めて悪質凶悪な犯罪については死刑やむなしと考えている。罪責が著しく重大な凶悪犯罪者に対し死刑を科すことについてはやむを得ないことであると考えており、死刑の廃止・存廃をめぐり、組織を作って検討するということは考えていない」と現況では死刑制度を世論も認めているとの認識を示した。
一方、死刑執行がなぜ26日になったのか。佐野太・前文科省科学技術・学術政策局長が受託収賄罪で起訴され、26日には文科省国際統括官が都内の医療コンサルティング会社に便宜を図った見返りに140万円相当の接待を受けたとして東京地検特捜部に逮捕されるなど、高級官僚の相次ぐ事件に政府への批判が大きくなることが予想される中、刑の執行でマスコミの扱いがトップにならないことを狙ったのでは、との見方もある。
6日の執行日には維新を除く立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、無所属の会などが強く反対していた「カジノ法案」(統合型リゾート整備法案、IR法案)が審議入りした。2日前には佐野太・前文科省科学技術・学術政策局長が受託収賄罪で逮捕されたのを受け、野党は政府への批判を強めていた時期だった。予想外の出来事もあった。西日本を中心とした豪雨。テレビ、新聞媒体はオウム事件での死刑執行、豪雨被害報道にほとんど割いた。26日のテレビ報道、27日の新聞紙面はどうなるか。死刑執行で他のニュースの割方に注視したい。(編集担当:森高龍二)