東京医科大が入学選抜で女子の得点を減点する行為を行っていた問題で、公益社団法人日本女医師会の前田佳子会長は6日までに「女性という理由で入学試験の採点に不当に手を加え、門戸を閉ざすべきではない」と抗議の談話を発表した。
前田会長は「日本は2016年4月に女性活躍推進法を施行し、国の政策として『一億総活躍社会』を目指しているはず」と指摘。「女性だから離職するのではないかと危惧するのでなく、女性も離職せずに働ける職場環境を整える努力をするべき。働き方改革は過労死予防のためだけにあるのではなく、性別を問わず、能力を発揮できる職場を作るためにこそ行われるべきと考える」と求めている。
そのうえで「日本女医師会では男女共同参画事業委員会を設置し、医学を志す女性のためのキャリア・シンポジウムを年1回開催し、女性医師が継続して働き続けるために必要な環境について、講演とディスカッションを重ね、指導的立場の先生から若い医師・学生に至るまで、意識改革を訴え続けている。今後も次世代の女性が女性であるという理由で学ぶ環境や働く環境を奪われないよう支援していく」としている。
また談話の中で前田会長は「医学部入学者に占める女性の割合は1965年に10%。以後は右肩上がりに上昇したが、1995年に30%となって以降、現在まで横ばい(文部科学省「学校基本調査」より)」と指摘。
そのうえで「一部の大学では、すでに女子医学生が50%を超えてきているにもかかわらず、全体の割合が変わらないのには何か理由があるのではないかと思わずにはいられない」と疑問を呈している。東京医大のような不当な類似行為がないのかどうか、文科省は調査の必要がありそうだ。(編集担当:森高龍二)