社会人の資格取得を後押しできるだろうか。厚生労働省は社会人の学び直しを支援するために2019年度から最大4年分の学費を助成することを決定した。看護師や介護士などの資格を社会人として働きながら学び直す社会人を支援する目的で、助成の期間を3年から4年に延長する。
社会人の学び直しを後押ししているのは厚生労働省だけではない。文部科学省でも社会人の学び直しを推進する制度が設けられている。加えて大学側も社会人向けのクラスを開講するなどターゲットを新たな資格取得を目指す社会人に絞っている。ビジネスマンや自営業としてすでに働いている社会人が新たな分野の知識を身に着けたり、資格を取ったりしてスキルアップするのに学び直しは非常に有効な方法だ。実際あるアンケート調査では社会人の実に約9割が「学び直しに興味がある」と回答した。ただし大学、大学院などでの学び直しは入学金や学費などの経済的問題、職場の理解が得られないという環境の問題などで非常にハードルが高いのも事実だ。実際仕事をしながら大学や大学院に入学したものの、仕事と勉学の両立ができずに学び直しをあきらめたサラリーマンも少なくない。
今回の厚生労働省の決定は、学び直しを目指す社会人の経済的な問題を改善するのに大いに役立つだろう。これまでも厚生労働省はこうした社会人のために助成を行ってきた。一定条件を満たせば10万円を上限にかかった費用の20%を支給する教育訓練給付金制度、専門性の高い資格などについては上限を32万円をに引き上げ、最大40%を支給する専門実践教育訓練の教育訓練給付金などはその一例だ。これに加えて助成金が支給される期間が最大4年となれば、さらに社会人の学び直しが身近になるのは間違いない。
しかし問題は経済的なものだけでなく、職場の理解を得られるかどうかということにも及んでいる。社会人が仕事をしながら学び直すというのは周りの協力なくしては容易ではない。今後は企業が学び直しの価値を理解すること、目に見える学び直しの効果を示す調査の検討などが必要になるだろう。(編集担当:久保田雄城)