厚生労働省が発表した2017年の雇用動向調査によると、転職後賃金が上がった労働者は36.2パーセントとなり、同条件で行われた調査の中では04年に次ぐ二番目の高水準となった。人材不足を反映して、19歳以下の若い世代では半数以上が転職によって給料が1割以上増えたと回答したほか、35歳から39歳までの中年層でも48.2パーセントと半数に迫る勢いだ。
新卒の社会人が入社後すぐに転職するということはなかなか難しいだろう。しかし入社後数年すると、転職によって給料が増えるという可能性は高まってくる。多くの企業が人材不足にあえぎ、優秀な人材を求めている現代は特にそうだ。今自分の持っている知識や技術を生かして、さらにスキルアップを図りたいならば早めの転職が望ましい。というのも、転職市場はおよそ20歳、25歳、30歳、35歳と5歳ごとに選択肢が半減していくというのが通説だからだ。人材不足が顕著になりつつある現代でも、高齢化と共に選択肢が狭まっていくことは否定できないだろう。
ではどうすれば転職を成功させ、給料を増やすことが可能になるのだろうか。もちろん転職直後の収入を知ることは重要だが、転職後のキャリアを考えることも重要になる。つまり転職先の会社で長年勤務することになった場合にどのくらいの収入が得られるかということだ。転職先で自分がどのくらい必要とされるのか、どのくらい会社に愛着を持てるのかということも考慮したうえで転職を決定することが必要だ。加えて転職先の会社についても、今成功している企業よりもこれから成功する可能性の高い企業の方が収入がアップする確率も高くなる。目先の収入だけに目を奪われないことも転職を成功させる秘訣といえるだろう。
一方企業としても、中途採用によってメリットが生まれるような雇用形態を確立していく必要がある。給与面はもちろん、福利厚生などの充実によってよりレベルの高い人材を受け入れられるような体制を整えることで人材難にも対処できるようになるだろう。転職市場においても企業と労働者の駆け引きは続いていく。(編集担当:久保田雄城)