政府の「月例経済報告」7月分では日本の「景気は、穏やかに回復している」と判断している。各種指標も生産、企業収益、設備投資、輸出、消費、雇用などの各種指標も増加、持ち直し、改善を示している。
一方で7月に公表された中長期試算では、一部指標で一服感も見られることから成長ペースが鈍化しているとして、今後の見通しを下方修正している。全体として回復基調であるものの所々飽和感が出てきていることも事実のようだ。
人材サービス業のエン・ジャパンが今年5月下旬から6月下旬にかけて「派遣の求人状況」の実態調査を実施、1654人から有効回答を得て、この集計結果を7月末公表した。
「最近の求人状況」の判断については、「以前より良くなっている」が33%で、「変わらない」が52%、「以前より厳しくなっている」が15%で、「良くなっている」が「厳しくなっている」を18ポイント上回っており、全体として「良くなっている」と判断できる。
しかし、レポートに掲載されている時系列データで見ると、「良くなっている」は2011年に10%、15年に28%、16年が33%、17年が36%と一貫して上昇傾向で推移してきたが、今回18年は33%と初めて減少に転じた。一方、「厳しくなっている」は11年が53%で、16年が21%、17年が17%、今回が15%と一貫して減少傾向を維持している。
こうした中で「変わらない」が前年17年の47%から52%と過去最高の割合となっており、全体として改善基調での推移を維持しているものの減速感がみられ、安定化への動きがうかがえる。
「良くなっている」の理由としては、「仕事の情報件数が増えている」が78%で最も多く、次いで「時給や給与が上がっている」が51%、「勤務曜日・時間・契約期間などの選択肢が増えている」が48%と続く。
自由記述を見ると、「仕事件数増加」については、「勤務地の幅が広がり、自宅近くの求人が増えた」、「職種の幅が広がり、求人内容がバラエティに富んだ」などとなっており、「時給・給料の上昇」では「現在では1000円以上の募集がほとんどな事に驚いた」、「地域給が全国的に上がった気がする」などで、「勤務日・時間等」では「週3日で16時までの勤務などの求人も増え、働き方の選択肢が広がった」などとなっている。
減速感が見られるものの、全体的に人手不足感は高まっており、人材派遣市場では、仕事の量と時給や時間、勤務地などの労働条件で改善が進んでいるようである。(編集担当:久保田雄城)