小野寺五典防衛大臣は28日の記者会見で、2018年版防衛白書で北朝鮮について「新たな段階の脅威」(2017年版)から「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と表現を強めたことについて記者団の問いに「米朝首脳会談で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を、改めて文書の形で明確に約束した意義は大きいと考えている」とした。
そのうえで「今後、北朝鮮が核・ミサイルの廃棄に向けて具体的にどのような行動をとるのかをしっかり見極めていく考えだが、北朝鮮が、わが国のほぼ全域を射程に収めるノドン・ミサイルを数百発保有し、実戦配備しているとみられることやこれまでの累次の核実験及び弾道ミサイル発射を通じ、核・ミサイル開発を進展させ、運用能力を向上させていることなどを踏まえれば、北朝鮮の核・ミサイルの脅威について基本的な認識に変化はない」と述べた。
防衛白書で国民に最も知らせたいことは、との問いに「わが国周辺の安全保障の環境というのは北朝鮮問題においては対話で解決に向かうという事は重要なことだが、現時点で北朝鮮に核・ミサイル廃棄の動きは見られないということ。中国の最近の軍の拡大、能力の向上、わが国周辺のみならず、わが国海峡を通過し太平洋に進出しているということ、このような安全保障環境が厳しい状況であるということを知っていただきたいということ、併せて、それに対応して防衛省・自衛隊の能力をどのように高めていく必要があるのか、その方向性等について国民の皆様に知っていただく必要があると思い、白書としてまとめた」と述べた。ただ、北朝鮮や中国の動きを理由に防衛力強化という防衛費拡大の軍拡路線には慎重さが求められる。(編集担当:森高龍二)