石破茂元防衛大臣は19日のブログで、戦争の放棄を規定する憲法9条の1項、2項を残し3項以降に自衛隊を書き込むとする安倍晋三総裁の発言を受け「憲法9条の議論が活発になりつつある」としたうえで「集団的自衛権行使の範囲や専守防衛の意義が大きな論点になるはず」と書いた。
専守防衛については「徹底した議論が必要だ」と提起している。特に石破元防衛大臣は「専守防衛とは『相手から武力攻撃を受けた時にはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度に限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう』(防衛白書)と説明され、私自身も何度か国会でそのように答弁してきたが、これがあらゆる防衛戦略の中で最も難しいものであることがどこまで国民に理解されているのでしょうか」と投げている。
石破元防衛大臣は「専守防衛は基本的に国土が戦場になることを想定している、いわゆる『籠城戦』的な戦略ですが、これが成功するためには『強い国民の意思』『堅固な守りの体制』『十分な兵糧・弾薬・人員』『国土の縦深性』『味方来援の確実性』の5つの要素が必要となります(野口裕之氏の所論による)。専守防衛に徹するなら、この確保に全力を注がなければならないのであって、ひたすらにこれを唱えていればよいというものではありません」と提起。
そのうえで「決して他国の脅威とならない、とのフレーズもよく使われますが、脅威とは意図と能力の掛け算の積なのであって、決して他国を侵略しないという国民の強い意志があれば、その積は零なのであり、能力向上を怠ってよいことには決してなりません」と専守防衛のための能力保持に努めることとそのことへの国民の理解を喚起している。(編集担当:森高龍二)