経済産業省と財務省は、企業が試験を行ったり、研究開発を行ったりする際にかかる費用の税制優遇を拡充するための検討に入った。今回の研究開発減税の検討とその後の実行によって、大企業のみならず中小企業の研究開発が促進されていくことを大いに期待したい。
経済産業省と財務省は、企業が試験を行ったり、研究開発を行ったりする際にかかる費用の税制優遇を拡充するための検討に入った。日本は世界トップクラスの製造技術や創造的な研究開発を誇るが、近年日本企業が研究や試験にかける費用が減少傾向にあることを踏まえ、費用の一部を法人税控除の対象とする研究開発税制の拡充を見据える。
研究開発税制によって控除されるものは大きく分けて四つある。まず試験研究費の総額だ。試験研究費とは非常に広い意味があり、ある製品や技術を考案、開発、改良、製造するための研究費、原材料費、人件費などが含まれる。試験研究費の増減によって控除率が変わるが、上限は法人税額の25パーセントまでとなっている。続いて特別研究試験に費やした金額だ。これは国や大学、民間企業などと共同もしくは委託して行う試験研究とより限定された控除になる。その分控除率が高くなるのが特徴だ。三つ目の中小企業技術基盤強化税制は中小企業の試験研究に対する法人税控除だ。資本金や従業員数などによって定義された中小企業に対する税制優遇措置であるため、控除率は大企業に対するものよりも高く設定されている。そして四つ目が高水準型の税額控除制度だ。試験研究費が当期と過去3年の平均の10パーセントを超えた場合に上限を10パーセントとして控除が受けられる。
今回の税制優遇の拡充の大きな柱は、研究開発費用の控除の上限を法人税額の25パーセントからさらに引き上げるというものだ。ケースによって異なるが、アメリカでは企業の研究開発費用の控除が法人税額の75パーセントになることもある。企業にとって控除率が高ければ高いほど、研究開発への積極性が高まることは言うまでもない。ひいてはそれが日本全体の技術力、国際競争力の向上につながるだろう。今回の研究開発減税の検討とその後の実行によって、大企業のみならず中小企業の研究開発が促進されていくことを大いに期待したい。(編集担当:久保田雄城)