電子文書が急速に普及するに従い、電子文書に時刻を付与するタイムスタンプの需要が急増している。電子文書がより普及し、インターネット上で契約が進んでいくケースが増えれば、タイムスタンプの需要もさらに高まっていくことが予想される。
電子文書が急速に普及するに従い、電子文書に時刻を付与するタイムスタンプの需要が急増している。電子文書によってインターネット上での文書の検索や転送が容易になる中、改ざんなども容易になりデータの信頼性確保が企業の関心事になりつつある。日本データ通信協会によれば2018年1月から6月のタイムスタンプの需要は前年比で28パーセント増えた。省庁の文書改ざんなどが明らかになる中、企業もデータの信頼性を高めようと必死だ。
電子文書は高い利便性を誇る一方で、改ざんが容易であること、さらに改ざん後にいつ、どこで、どのように改ざんされたのか検出することが困難であることが問題となっている。今年に入って財務省で公文書の改ざんが行われたことも明らかになり、官民を問わず文書の信頼性への関心が一気に高まった。そこでより改ざんが容易な電子文書に対しても、改ざんされていないことを証明するためのタイムスタンプが必要になっているのだ。
タイムスタンプとは、いつ、何を電子文書にしたかを証明するものだ。つまりタイムスタンプによって証明されている時刻以降に電子文書が改ざんされていない、「非改ざん性」を担保するものとなる。似たようなものとして「電子署名」があるが、電子署名の場合は誰が、何を作成したかを証明するものであって、非改ざん性を保証するものではない。電子署名は文書を作成したコンピュータの時刻をもとに作成されるため、改ざんが可能だからだ。
しかしタイムスタンプは取引とは無関係の第三者が提供する時刻配信サービス、時刻認証サービスによって過去のある時刻に確かにその文書が存在していたこと、さらにその時刻以降文書が改ざんされていないことを証明するものとなるのだ。これから電子文書がより普及し、インターネット上で契約が進んでいくケースが増えれば、タイムスタンプの需要もさらに高まっていくことが予想される。経営者の立場であれば、タイムスタンプの導入によって企業価値を高めることも検討できるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)