親から受け継ぐ財産で不動産は資産価値が大きいものの一つだが、不動産を所有している親の中で所有する不動産を子供に相続させたくないという人が増えてきている。不動産の比較査定サイト「スマイスター」が実施した調査では、子供に不動産を相続させたくないという親は全体の約20%にも上った。
不動産を相続させたくない理由は大きく分けて二つある。一つ目は利用価値がないというものだ。すでに子供が自分の家を持っている場合、親の土地や建物を相続してもそこに住むことはない。特に子供が親から遠く離れて住んでいる場合には家の管理もままならないだろう。では相続した後売ってしまえばいいのではないかとも考えられるが、所有の不動産が売れないと感じている親も16.9%に上る。さらに建物の老朽化によって価値が低くなってしまっている場合にも親としては相続させないと感じるようだ。
不動産を相続させたくない別の理由は費用の問題だ。不動産を子供に相続させた場合、子供は所有権移転登記手続きを行わなければならず、司法書士などに依頼すれば費用がかかる。さらに固定資産税や土地建物を管理するための管理費なども毎年かかる。こうした負担を考えると、相続させない方が結果的に子どもにとってメリットが大きいのではないかと考える親も少なくないのだ。
しかし不動産を相続しないことにはリスクも伴う。現在日本国内で九州地方に匹敵するほどの面積があると考えられている所有者不明土地の問題も元をたどれば相続などで所有権移転登記が行われていないことに行きつく。相続が行われないと相続人が増えすぎてその後の手続きが煩雑になるなどのデメリットがあるのだ。そのため不動産は親から子供へしっかり相続しておくことが重要となる。子供に不利益が生じることがないよう、相続に際しては不動産を売却・換金して分割する換価分割などの利用を検討することができる。できる限り早く相続について家族や親族と話し合っておくことが子供の利益となることも覚えておきたい。(編集担当:久保田雄城)