6月に発生した大阪府北部地震の際、被災地を中心に飲食料品の買い占めが原因でスーパーやコンビニなどで品切れが発生するという事態が起きた。一部の地域で電気・ガス・水道などのライフラインが寸断されたために起きたパニックとも言われるが、物流機能それ自体は障害されておらず、明らかに不合理な集団行動で、一部にはインターネットでデマ情報が流されたとの指摘もある。
この時、人々はどのように行動しパニック状態に至ったのか。東京大学とサーベイリサーチセンターが、京都、大阪、兵庫、奈良の成人男女800名をサンプルに「大阪府北部地震(買いだめ)に関する調査」を8月に実施、その集計結果を11月26日に公表している。
調査結果によると「物流で困ったことがあったか」という質問に対しては、「とても困った」はわずか1.8%、「やや困った」が12.4%で、両者を合わせた「困った」は14.2%に過ぎない。最も多いのが「まったく困らなかった」の53.8%で半数以上、「あまり困らなかった」32.1%と合わせて85.9%が「困った」と認識してない。
「物流が途絶えたことで困ったこと」については、「スーパーやコンビニが品薄で十分な買物ができなかった」が61.1%で最も多く、「宅急便が受け取れなかった」31.0%と続き、多くの者が買い占めによる二次的な影響で困った事態になったようだ。
この時の買物行動については、「普段と異なることはしていない」が66.1%で7割近くは買い占め行動をとっていない。「余震に備えて買物をした」は22.9%、「品薄状態を知ったため備えとして買物をした」が15.8%となっている。
「通常より多めに買った」ものの割合を商品別に見ると、「水」が22.3%と最も多くなっており、次いで「インスタント食品等」の19.5%、「米やパン等」12.0、「ティッシュやトイレットペーパー」10.9%という順になっている。
「通常と変わらない」と「買っていない」の合計は最も少ない「水」でも68.5%で、ほとんどの者は買い占め行動をとっていない。全体を総合すると、2割の行動によって品切れ状態になるという事態が発生したようだ。
現代では、店舗が在庫を抱えコスト増とならぬようジャストインタイムの合理的な物流システムが形成されている。平時にはこのシステムによって消費者は安く商品を購入することができる。しかし、非常事態には買い占め行動が幾度となく発生しており、これに対応可能な新たなシステムが必要なのではないか。(編集担当:久保田雄城)