国内で人気を集めているタワーマンションだが、今年に入って立て続けに起こった地震によってその問題点も浮き彫りになった。タワーマンションのみならず、国内の建物の多くは震度6強から震度7の地震が起こっても耐えられるように設計されている。さらにタワーマンションには免震構造なども導入されており、倒壊の危険性はほぼないと言っていいだろう。しかし問題となっているのが「高層難民」だ。
「高層難民」とは、地震が起こったために起こるエレベーターの停止によって高層階に取り残されてしまった住民を指す。一般的にエレベーターは震度4以上の地震を感知すると緊急停止するようになっている。そのためエレベーターに乗っている時に揺れを感じたら、すべての階のボタンを押しエレベーターが止まった階で降りるのが鉄則だ。問題はエレベーターが停止し復旧するまでの間どうするのかということだ。エレベーターが使えなければ住民の移動は原則徒歩となる。高層階になればなるほど住民の移動は困難となる。さらに復旧が長期化すると生活必需品を購入するために徒歩で外出しなければならない。もし救援物資が供給されても、水などは非常に重いため高層階に持っていくためにも多大な労力が必要になる。自衛隊や自治体による支援は地上で行われるのが基本となっており、高層難民に物資を届ける事態は想定されていない。
そのためタワーマンションでは災害時のマニュアルに同じ階の住民と助けあう、共助を盛り込んでいる。基本的に安否確認や救助活動は階層単位で行い、生活必需品が足りなくなった場合にも住民同士で助け合うことなどが記載されているのだ。加えて生活必需品や食料の備蓄を増やしておくことも重要だ。内閣府は1週間分の水、食料、簡易トイレなどを備蓄しておくことを推奨している。缶詰や乾物を使って、ガスがなくても調理できるレシピなども閲覧しておくと良いだろう。
タワーマンションは快適な生活を送るのに適した場所だが、災害時に備えて自分で自分の身を守る対策を今から立てておくことが重要だ。(編集担当:久保田雄城)