内閣府が「外交に関する世論調査」の概要を公表した。この調査は今年10月の下旬に個別面接聴取方式で18歳以上の日本人3000名を対象に実施されたものである。調査内容は、1.日本と諸外国との関係、2.開発協力、3.国連における日本の役割、などの6項目からなる。1の諸外国との関係ではアメリカ、ロシア、中国、韓国、オーストラリア、中東諸国などに対する親近感や関係の発展についての質問がなされている。
ロシア、中国、韓国については様々な政治的な軋轢が存在する一方で経済的な協力関係は確実に発展しつつある。ロシアに関しては長年の課題であった北方領土問題がシベリア開発とも関連し、経済協力圏の構築に向けて一定の前進があったとみてよいであろう。新聞報道によればロシア内では領土返還に関し反対デモがあった一方で領土返還に関し理解を示す者の割合が過去最高を記録したとされる。
また中国に関しては周知の通り貿易の拡大は増加傾向で推移しており、これまでの貿易相手国1位のアメリカを抜く勢いで発展している。
報告書によれば、アメリカに親しみを感じている者の割合は78.4%と依然高い割合を示しているものの昨年の調査75.5%に比べ2.9ポイント減少している。
ロシアについては17.7%が親近感を感じており、昨年の18.0%より低下したが大きな差はみられないものの2割程度に過ぎない。「ロシアとの関係発展は重要か」という問いには79.8%が「重要」と答え、昨年の77.0%より2.8ポイントも上昇している。
中国への親近感は20.8%、昨年より2.1ポイント上昇しているが、やはり2割程度にとどまっている。両国間の関係についても「良好」と答えた者が18.3%で、昨年の14.9%より大幅に増加している。関係の発展についても「重要」が81.2%で昨年の76.9%より大幅な増加だ。
韓国への親近感は39.4%と4割程度で、昨年の37.5%より増加している。両国の関係も「良好」が30.4%で昨年の26.8%より増加している。関係の発展については、「重要」が69.8%で昨年の69.1%と変わらない。
ロシア、中国、韓国との関係発展がアジア・太平洋地域の発展に重要と考える者は7~8割程度存在するが親近感は2~4割程度だ。この格差には政治的な軋轢が背景にあるのではないかと想像される。人口減少と内需減少が予測される日本にとって極東アジアの経済圏確立が重要なことは言うまでもない。政府には引き続き適切な外交努力を期待したい。(編集担当:久保田雄城)