自分の心が疲れていることに気づく人はそう多くない。しかし心の疲れやストレスを放っておくと精神的な病気を抱えたり、仕事に支障が出たりしてしまうこともある。特に正月休みなどの長期休みが終わった直後は心の疲れがより顕著に表れ自殺に至ることもあるので、会社の部下や同僚の態度に変化が現れた場合には注意が必要だ。
厚生労働省が発表した自殺対策白書によれば、日本国内の自殺による死亡者は2017年には21,321人であった。自殺者数は03年に34,427人を記録してからは減少傾向にあり、統計が始まった1978年の水準に戻りつつある。しかし10代から30代の若者世代での自殺者の数は1000人台で推移しており、死因の一位だ。全体で見れば自殺数は減少しているとはいえ、先進国の中で若者の死因の一位が自殺であるのは日本だけであり看過できない状況が続いている。
自殺対策白書によれば心の疲れが顕著に現れ自殺が増えるのが正月休みなどの長期休み明けだ。再び仕事に戻ることが心のストレスを倍増させ自殺に追い込んでしまう可能性もある。そうした事態を防ぐためには周りが心の変化に気づくことが必要だ。例えばこれまで勤務態度がまじめだったのに欠勤や遅刻が増えてきた、これまでよりも飲み会などへの付き合いが悪くなった、身なりが乱れてきた、仕事中・会議中などに居眠りをしているなどが挙げられる。特に長期休みの後にこうした傾向が見られた場合には注意が必要だ。たるんでいると叱りつけたくなるかもしれないが、心の疲れが現れている可能性を考慮に入れる必要があるだろう。
心の疲れが現れている時にはその疲れを解消する対策が不可欠だ。もっとも簡単に行える解消法は運動だ。精神を安定させるセロトニンが分泌され積極的な感情を生み出す。可能なら仕事を始める月曜日の仕事終わりに楽しみを作っておくのも良い方法だ。当然だが睡眠、食事をしっかり取ることで心の疲れも減らすことができる。自分の心の疲れを敏感に感じながら適切に対処していきたいところだ。(編集担当:久保田雄城)