カーエレクトロニクス技術展、今年も盛況のうちに閉幕。注目を集めた最新技術

2019年01月27日 11:19

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第11回[国際]カーエレクトロニクス技術展のロームブースで注目を集めたセンサAFE向けFlexiblePlatform(R)「BD40002TL」。自動運転などのシステムの最適化と開発期間の短縮に大きく貢献する。

 去る1月16日~18日の3日間、東京ビッグサイトに於いて「第11回[国際]カーエレクトロニクス技術展~カーエレJAPAN~」が開催された。

 主催者の速報によると、今年度の来場者は3日間合計で37657人を記録。併催展(第11回オートモーティブワールド内)を含めると総来場者数は116244人にのぼった。同展は、カーエレクトロニクスの進化を支える技術などが一堂に会する本分野世界最大級の専門展。初開催時に比べ出展社数も増加しており、今年は1002社もの関連企業が参加。半導体・電子部品やECU関連、テスティング技術、車載ソフトウェア関連など、自動車の未来を支える多彩な技術が紹介された。中でも今回、来場者の関心が高かったのは、自動運転やADAS(先進運転システム)関連の展示ではないだろうか。

 例えば、来場者の注目を集めていた技術の一つに、ロームのセンサAFE向けFlexiblePlatformⓇ「BD40002TL」がある。自動運転を実現するための大きな要素が、目まぐるしく変わる情報を正確にキャッチするセンサだ。しかし、その一つ一つのセンサから出力されるアナログ信号は微小であるため、MCUなどで処理するためにはAnalog Front End(AFE)という回路が必要になる。

 ところが、このAFEの設計には大きな課題があった。センサから出力される信号は多彩である上に、種類ごとに電圧振幅や周波特性などが異なるため、AFEの設計は非常に難易度が高くなってしまうのだ。AFE設計者には高い知識と経験が要求されるが、問題はそれだけにとどまらない。そもそも、電子機器のデジタル化に伴って、アナログ回路設計者が業界で激減しており、AFEを設計できるアナログ回路設計者が社内にいないという企業も少なくないのだ。

 また、開発期間もネックになっていた。従来、AFEの設計では、性能確認・出戻りまで含めると1年から2年の期間が必要とされていたのだ。

 しかし、今回、ロームが開発に成功したIC「BD40002TL」を導入すれば、これらの課題は一気に解決する。BD40002TLは端的に言えば「システム最適化」と「高い開発効率」を両立させたソリューションだ。センサシステムの信号処理に必要なアナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックを集積し、使用するセンサに合わせて、アナログ回路ブロックの組み合わせを自由に選択できるため、特性が違うセンサでもこのIC一つで対応できる。

 もう一つの課題であった開発期間についても、大幅な短縮が見込める。同社が提供するGUIツール「RapidMaker(R)」を使ってアナログ回路ブロックやデジタル回路ブロックの設定を行えば、約1ヶ月での開発も可能だという。ちなみにカーエレクトロニクス技術展のロームブースでは、磁気センサや赤外線センサ、圧力センサなどが用意され、ボタン一つで各センサに適したAFEに切り替わるデモ展示が行われ、来場者の関心を集めていた。
 
 自動運転や先進運転システムには、何よりも安全性と信頼性が求められる。そのためには精度の高いセンサの増加は宿命ともいえるものだ。ロームが開発したこのICは、自動運転の実現を加速するものになりそうだ。(編集担当:藤原伊織)