国土交通省では、高齢運転者などによる交通事故で頻発している「ペダル踏み違い」による死傷事故を防止するために設置された「安全運転サポート車」の普及啓発に関する関係省庁副大臣会議などにおける中間取りまとめを受けて以下の発表を行なった。
国内自動車メーカーの求めに応じ、乗用車の「衝突被害軽減ブレーキ」(AEBS)が、所期の性能を持っていることを国が認定する制度を2018年(平成30年)3月に創設した。
AEBSとは、衝突被害軽減ブレーキ「Advanced Emergency Braking System」の略称
そして、昨年中に各メーカーから国交省に申請のあった車両について認定審査が終了し、その結果を発表したのだ。
結果、国内メーカー8社から申請のあった車両について「衝突被害軽減ブレーキ」性能試験を行ない、各車が必要なブレーキ性能を持っていることどうかを試験して認定した。結果、認定車両152にのぼる型式となった。メーカー別の認定車名などは国交省HPに掲載されている。
国交省は、今回の結果も活用しつつ、官民連携による衝突被害軽減ブレーキの普及促進の取組みの一層の推進を図っていくとしている。
また、今回の発表にあわせて、写真のとおり自動車メーカーが衝突被害軽減ブレーキの普及促進のための広報活動などにおいて活用できる「AEBS」ロゴマークを作成した。
衝突被害軽減ブレーキとその認定制度に対する認知度及び関心を高めることを目的とした「AEBS」ロゴマークは、自動車メーカーにおいても認定を受けた自動車の情報とともに衝突被害軽減ブレーキの普及促進のための広報活動等に活用することができる。
自動車各社の自動ブレーキ性能の認定は、以下の条件を満たす装置であること。
静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により「衝突しない」、あるいは「衝突時の速度が20km/h以下となる」こと。
また、20km/hで同方向に走行する前方車両に対して50km/hで接近した場合、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により「衝突しない」こと。
加えて、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御の少なくとも 0.8秒前までに、衝突の恐れのある前方障害物の存在をドライバーに知らせるための振動や音声によるアラートが作動すること、としている。また、国交省の別の資料によると、2012年に僅か2%程度だったAEBS装着率は、2018年販売された新車の乗用車7割超にまで拡大しているという。
今回のAEBS認定制度とロゴマークの発行とともに、先般の神戸市営バスや東京・池袋での高齢者ドライバーによるペダル踏み間違いが原因と思われる死傷事故が相次ぐ現状を鑑みると、かつてエアバッグやABS、横滑り防止装置とされるESP(ESC)などがそうだったように、ドライブレコーダーを含めた「自動ブレーキ全車装着義務化」が加速しそうだ。(編集担当:吉田恒)