官房機密費12億の9割は領収書不要政策推進費

2019年05月08日 06:23

 官房機密費(内閣官房報償費)の中で特に「ブラックボックス」になっている官房長官独自の判断で出納管理し領収書がいらない「政策推進費」が官房機密費の9割を占め、2018年も12億3847万円のうち90.1%にあたる11億1620万円が政策推進費だったことが日本共産党の調べで分かった。機関紙「赤旗」で報じた。

 官房機密費は「政策推進費」のほか、情報提供対価として支払う「調査情報対策費」、会合や慶弔などの費用にあてる「活動関係費」からなるが、政策推進費は領収書がいらない。自民党政権から民主党政権に移行した際には当時の河村建夫官房長官が政権交代直前に政策推進費2億5000万円を引き出していた。

 最高裁は官房機密費について昨年1月19日、機密費の特性を踏まえ、支払先や使途の特定につながる部分の開示こそ認めなかったが、月ごとの全体の支出額や政策推進費への繰入額の開示について妥当とした。

 菅義偉官房長官は昨年3月20日の記者会見で「判決に従い適切に対応するのは当然」とそれまで全面非開示だったのを一部開示したことにコメントし「国民の不信を招くことがないよう引き続き適正な執行を徹底していく」と述べていたが、官房機密費の国庫返納額が毎年1万円から10万円台になるまで消費される状況は官房機密費を減額しないために調整しているのではとの見方も出ている。官房機密費の情報開示の在り方、できる限り透明性を高める方法を国会で議論していくことが望まれている。(編集担当:森高龍二)