安倍内閣発足の2012年12月26日から、これまでに使われた内閣官房機密費(報償費)の総額が28億円で、このうち官房長官が自由に扱える分が23億6000万円になっていることが分かった。共産党の佐々木憲昭衆院議員が内閣委員会で菅義偉官房長官に質した時の答弁を紹介している。
佐々木議員は、4月に2億、5月から10月まで毎月1億円が使われていたとし、官房機密のうちの「情報調査費」と「活動費」は、「支払い目的」「支払い相手方」「金額」が書かれ、すべての記録が残されているそうだが、「政策推進費」は、「支出先」「支出金額」「支出目的」の記録は支出先、金額、目的の記録が完全には残っていないので、検証が将来できないと問題提起している。
内閣委員会で菅官房長官は「国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でないものもある。官房長官の判断と責任で支出している」と答えた。
ただ、10年は無理でも、30年、最大60年先には検証できるよう、支出先、金額、目的を記録し、必ず残すよう法制化することは必要ではないか。
民主党政権時代に当時の藤村修官房長官が私案を出していた。私案では「総理官邸分の内閣官房報償費については支払い相手の名前、名称、支払い目的など具体的な支出に関わる情報は極めて秘匿性の高い機微な情報であるため、将来の活動にも支障をきたすおそれがある」として「一定期間後であっても公開には適さない」とした。一方、「会計手続き上の支払い決定月日や支払額についてはさまざまな憶測を呼ぶデメリットはあるものの、透明性確保の要請を踏まえれば一定期間後は整理のうえ、公開することは可能ではないか」とした。
藤村氏は当時「官房長官の決定で会計手続き上の支払い決定の月日や支払額を取りまとめた文書を一定期間の経過後に公開することとしてはどうか」と提起していたが、政権交代でその後、とん挫をした。再検討がもとめられている。(編集担当:森高龍二)