トヨタ自動車とパナソニックは、それぞれが所有する住宅関連事業を統合・合併し、新会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」を立ち上げる。背景には国内の住宅市場は先行きが厳しいことがあるからだ。野村総合研究所の予測では、2030年の新設住宅着工戸数は60万戸と、2017年度に比べ4割近く減るとしている。ハウスメーカー1位で大手の大和ハウス工業は物流施、同2位の積水ハウスはホテル建設など領域の拡大を図っている。トヨタとパナソニックは今後の住宅事業の市場縮小予測を睨んで、今回の決定に至った。
トヨタとパナソニックは。これまで電気自動車(EV)向けの車載電池や自動運転技術の開発などそれぞれの本業でも協調体勢をとってきたが、そこでの巨額の開発費などを考慮して、事業の絞り込み、再構築に動いたわけだ。
新会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」には2社による同率出資となる予定で、トヨタホームやその子会社ミサワホームも傘下に入る。ミサワは12月30日付で上場廃止となる。パナソニックホームズや松村組など子会社3社を移管する。新会社は三井物産からの出資を受けることも検討する。
プライム・ライフ・テクノロジーズは住宅事業、建設事業、街づくり事業を総合的に手掛けていく計画で、住宅事業ではパナソニックホームズ、トヨタホームなど3ブランドを存続させながら、調達などの共通化でコスト削減を進める。
2017年度の売上高は、トヨタホームが連結子会社のミサワホームを含んで5529億円(ミサワホームの売上高3885億円)、パナソニックホームズが2442億円だった。統合後は住友林業に次ぐ売上高5位となり、戸建住宅供給戸数約1万7千戸の国内住宅業界でトップクラスの地位を獲得する。
両社は本合弁会社の設立を通じた協業により、トヨタが進めるモビリティサービスへの取り組みと、パナソニックが進める「くらし」のアップデートへの取り組みを融合させつつ、街全体での新たな価値の創出を目指す。(編集担当:吉田恒)