情報テクノロジーの急速な進化とともに産業構造の大きな転換が迫られている。世界では既に大きな産業構造、就業構造の変革がおこり、日本だけが取り残されてしまうのではないかという様相も見せている。産業は常に新陳代謝を活発にして、その時代のテクノロジーに見合った構造を維持して行かねばならないが、第四次産業革命とも言われるように、今ほどその必要性に迫られている時代もないであろう。
産業の新陳代謝には若い世代の起業が重要だ。しかし、日本の若者は諸外国に比べ起業に無関心だと言われる。政府も生産年齢人口減少をにらみ、日本の起業率を欧米並みの10%台へと押し上げるため様々な支援策を用意している。
人材サービス業のマイナビが全国20代から60代の男女2万1318名を対象として2月に実施した「2019年版 独立・開業に対する意識調査」の結果を公表した。
集計結果によれば、「独立・開業に興味がある」と回答した者の割合は41.3%で4割超えの者が起業に関心を持っているようだ。都道府県別に見ると、宮崎県が52.1%と半数を超えトップで、次いで熊本県の48.8%、沖縄県の48.5%と続き、西日本で上位を占めた。逆に低かったのは佐賀県の32.1%、高知県の32.6%、徳島県33.0%でやはり西日本が並んでいる。
起業に興味を持ったきっかけを「起業に興味あり」と回答した1000名をサンプルに聞いたところ、「収入を増やしたい」が27.9%で最も多く、次いで「やりたいことがある」が23.0%、「自分の能力を試したい」の18.1%が2桁台でトップ3となっている。「やりたいことがある」、「自分の能力を試したい」を「自己実現のため」と捉えれば4割超えの41.1%が起業を自己実現の手段と考えていることになる。
開業したい業種については、「飲食」が26.1%でトップ、次いで「IT・通信・情報・携帯電話」が17.6%、「理美容・整体・エステ・リラクゼーション」15.8%と続く。世代別にみると全ての世代で「飲食」がトップになっている。「飲食」は粗利幅が大きく経営しやすいというのも要因にあるのかも知れない。
開業時に重視するポイントでは「自分のペースで働ける・自分の時間を持てること」が18.0%と断トツでトップになっている。レポートでは「ワークライフバランスの概念が広まり、働く意識や環境が大きく変わる中、独立・開業を通じて『自分の時間を持ちたい』『余裕のある働き方をしたい』という考え方が主流となってきているのではないか」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)