中小経営者、後継者難で止められない。継承には「先代の思い」が重要8割

2019年03月24日 12:03

画・中小企業の働き方改革。「過重労働防止」が4割。「効果を実感」4割。

エヌエヌ生命保険が50歳以上の中小経営者調査の結果を発表。49%が「人材の確保・育成」を課題と回答。「後継者難で止められない」37%。事業継承時は先代の思いや経営情報の整理が重要8割。

 少子高齢化の中で中小企業の経営者も高齢化している。高齢化した経営者が仕事を続けられなくなり後継者が見つからなかったために好調な業績にもかかわらず廃業を余儀なくされる企業も多いと聞く。M&Aなどにより企業が買収され事業や事業体そのものは何らかのかたちで継続するケースも決して少なくないようだが、いずれにしろ経営者の高齢化、後継者難による事業の廃止は日本経済の活力の点から言って大きな問題だ。

 こうした現況を中小企業の経営者達はどのように認識しているのであろうか。エヌエヌ生命保険が全国の50歳以上の中小企業経営者2297名を対象に昨年12月に現況と将来についての意識調査を行い、6日にその結果を公表している。

 経営者になった経緯については、「自身や知人と起業し経営者となった」が52.5%と半数を超えた。次いで「後継として親族の中から経営者となった」が29.6%、「役員・従業員の中から」が9.4%となっている。

 現在の業績については「良い」が12.0%、「まあ良い」が42.4%で54.4%は業績が良いようだ。現在抱えている課題については、「人材確保・育成」が49.2%と半分近くで最多となっており、近年の人手不足が背景にあると思われる。2020年に向けての業績の見込みは、「現況のまま」が48.4%で最も多く、次いで「やや拡大」が26.4%で今後の動向も順調だと見込んでいるようである。

 「2025年、自身は何をしていると思うか」に対しては「現状のまま経営者」が54.1%で半数を超えて最も多く、ついで「引退している」が18.9%となっている。「現況のまま」と答えた理由を聞くと、「生きがいだから」が42.2%で最も多くなったが、「後継者の問題があり退くことができない」が37.4%と約4割であった。

 「事業承継について考えているか」という質問に対しては、「考えているが準備はしていない」が24.6%で最も多く、次いで「後継者がいないので考えられない」が22.6%、「準備している」19.1%、「忙しくて考えられない」16.1%の順となっている。

 「先代の思いや、経営上必要な情報などが整理されていることは重要か」という問いに対しては、「非常に重要」が20.1%、「重要」が33.9%、「ある程度重要」32.1%となっており86.1%が「重要」と答えており、事業継承は単なる経営者の交代ではなく経営哲学の継承とも考えているようだ。こうした点にも事業継承の難しさがあるのだろう。(編集担当:久保田雄城)