自治体指定の津波避難施設 4ヶ月で倍増

2011年12月29日 11:00

 国土交通大臣は津波防災地域づくりを総合的に推進するための基本的指針を28日までに定めた。民間施設も活用し避難施設を効率的に確保することなどを盛り込んでいる。こうしたなか、内閣府と国土交通省が福島、宮城、岩手を除く都道府県においての津波避難ビル実態調査を行った結果、地方公共団体が地域防災計画などで位置づけている津波避難ビルなどの棟数は6月30日現在1876棟だったが10月31日には3986棟と2倍以上に増えていた。

 また6月30日に避難ビルの指定数調査と同時に行った避難ビルの階数や構造、用途、指定にあたっての課題などのアンケートを行った結果によると、1876棟のうち、新築は28棟(1.5%)、既存建物に外階段を設置するなどの改修をしたものは23棟(1.2%)で97.3%は既存の建物をそのまま避難ビルにしていた。また、公共建築物は35.4%で64.6%は民間建築物になっている。

 建物階数では回答のあった1737棟のうち747棟は4階建て以上だったが、635棟は3階建て、339棟は2階建て、16棟は1階建てだった。耐震性については回答のあった1159棟のうち新耐震基準の建物は68.3%にとどまっていた。

 建物の内容をみると回答のあった1256棟のうち民間住宅が273棟で最も多く、次いで学校(227棟)、ホテル(184棟)、事務所など(168棟)だった。1棟あたりの平均収容人数は558人になっていた。

 自治体と建物所有者・管理者との間に津波避難にかかる管理規約や協定が結ばれている建物は回答のあった997棟のうち718棟(72%)で28%は締結していなかった。

 また、課題では夜間・休日などに避難の必要が生じた場合の対応やオートロックの開錠などに課題があるとの意見や建物所有者にとって避難時の安全確保の責任などに懸念がある、防犯性やプライバシーの確保に係わる課題などが指摘されており、こうした課題の解決策が求められている。(編集担当:福角忠夫)