トヨタ、「後付けの踏み間違い加速抑制システム」対象車種拡大、年内に12車種

2019年05月31日 07:32

Toyota Safety Sense After Parts

先代プリウスの後付けした例、バンパーに装着した超音波センサーが障害物などを検知して衝突被害を軽減する

 トヨタ自動車は、昨年12月より乗用車既存モデル5車種を対象とした後付けの踏み間違い加速抑制システムを発表した。その対象車種を2019年内に順次12車種まで拡大し、販売を開始する予定だと発表した。

 この「踏み間違い加速抑制システム」は、トヨタ正規販売店装着の純正用品として、現在ユーザーが実際に乗っているクルマに取り付けることが可能なシステムだ。

 これまでプリウスやアクア、プリウスα、プレミオ、アリオンなどの対象5車種に加えて、6月3日に「ポルテ」「スペイド」「ウィッシュ」の3車種に設定を拡大、さらに10月に「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」「パッソ」、12月に「ヴィッツ」にも設定を拡大する予定だという。

 トヨタは、「交通事故死傷者ゼロ」に向けて、新型車には、歩行者事故や追突事故などの被害軽減に効果が見込める「Toyota Safety Sense(TSS)」と、駐車場などの低速時での衝突被害軽減に効果が見込める、「インテリジェントクリアランスソナー(ICS:パーキングサポートブレーキ<静止物>)」などを設定展開してきた。

 しかし一方で、すでにユーザーが保有しているクルマには純正システムの搭載は難しいのが現状だった。そこでトヨタは、「後付けの踏み間違い加速抑制システム」を開発して展開を順次進めているというわけだ。

 駐車場などでのブレーキとアクセルのペダル踏み間違い事故は、公益財団法人交通事故総合分析センターの 2018年2月発行 「ITARDA INFORMATION 交通事故分析レポート」によると、75歳以上の高齢ドライバー事故率が高い傾向にあり、その対策として、新型車へのICSの展開に加えて、「後付けの踏み間違い加速抑制システム」の対象車種の拡大を順次進めてきた。

 後付けシステムは、ブレーキ制御を行なわないなどICSの機能とは同等ではないが、ブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際に、加速を抑えるなど、衝突被害軽減に貢献するとされる。今後も、トヨタ車を長く、安心してドライブするための支援装置として装備展開を進めていくという。

 システムの概要は車両前後に取り付けた超音波センサーにより、前方または後方約3m以内にある壁などの障害物を検知し、ブザー音で注意喚起する。それでもブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際には、加速を抑制し、衝突被害の軽減に貢献する。

また、後退時は、障害物を検知していない状態でも、約5km/h以上でアクセルを踏んだ場合、速度が出過ぎないよう加速を抑制するというもの。部品の価格は5万5080円(税込み)だが、取り付け工賃などの諸経費は含まない。(編集担当:吉田恒)