商工中金融資「個人保証なしを原則にする」総理

2019年06月02日 08:06

 安倍晋三総理は31日開かれた全国商工会連合会第58回通常総会懇親パーティーであいさつし、中小・小規模事業者の後継者育成にも関係する金融機関から融資を受ける際の借入時「個人保証」の問題に触れ「商工中金では、今後、個人保証なしの融資を原則とする」と明言した。

 安倍総理は「商工中金と日本政策金融公庫は既に10兆円に上る融資を個人保証なしで実施しているが、商工中金で個人保証なしの融資を原則とすることにより、年間2万件の融資が無保証化される」とした。

 また「民間金融機関からの借入れについても、事業承継に焦点を当てた経営者保証ガイドラインの特則をつくります。先代の経営者と後継者の双方から個人保証を取る二重取りが、年間1万件もあるわけですが、これを原則禁止にする」。

 安倍総理は「後継者の皆さんが融資を受ける際には個人保証なしで、信用保証協会が保証する、新しい制度を創設する」とも語り「経営磨き上げ支援も行い、ガイドラインに沿って専門家の確認を得た後継者の方々には保証料もゼロとする。事業承継の流れを一気に後押しする」とアピールした。

 また下請け取引の改善では「これまでのどの内閣にも負けないくらい私は力を入れてきた」とし「近年の下請けいじめの実態を踏まえ、買いたたきなどの違反行為の事例を2倍以上に増やすとともに、Gメンも600名体制に増員して取り締まりも強化している。手形払いに関する通達を50年ぶりに見直し、下請代金の支払いは現金払いを原則とした」など、中小零細企業の資金繰りにも配慮した対応をすすめてきた旨、アピールした。

 そのうえで「強い経済のためには何が大切か。それは政治の安定でございます。政治の安定のためには何が大切かということは、もう皆さんよくお分かりでしょうから、あえて申し上げませんが、どうか皆様よろしくお願い申し上げます」などと暗に参院選での与党支持を訴えた。(編集担当:森高龍二)