高齢者ドライバーによる深刻な人身事故が増えている。高齢者ドライバーによる交通事故の増加は以前より指摘されていた。これに対して警察は高齢者に対して運転免許証の自主返納を促すなどの対策を講じてきた。
最近の高齢者ドライバーによる死亡事故の急増によって世論の中には強制返納の制度を作るべきだという意見も出てきている。しかし、地方などでは公共交通などのインフラが十分でなく車なしでは生活が成り立たないなどの実態もあり、強制返納に関しては意見が二分していると言っても良いであろう。
情報サービス業のInsight Techが5月下旬、自社運営のサイト上で男女1498名を有効サンプルに「高齢者の自動車運転」をテーマにアンケート調査を実施し、その集計結果を11日に公表している。
集計結果によると、「高齢者の自動車運転により、危険な体験をしたことがあるか」と聞いた結果では59%が「ある」と回答している。「将来、シニア世代になった時に運転免許証の返納は考えているか」という問いに対しては、63%が「考えている」と回答している。
年代別に見ると、60代以上が70%と最も高く、自身や家族がシニア世代に該当するようになり、返納を考えている割合も多くなっているようだ。その一方で60代での「考えていない」と答えている者の割合は10%で全年代の中で最多となり60代以上では考え方が二極化しているようだ。
「何歳で返納するのが妥当か」との問いには、「70~74歳」が42%と最も多く、次いで「69歳以下」が24%で、この両者を合わせると「74歳まで」66%と3分の2の割合になる。「75歳から79歳」が20%なので「80歳未満」では86%となり約9割が80歳までに返納すべきと考えているようだ。
しかし、回答者を「1都3県、大阪府」と「その他」というふうに都会と地方に分けて見ると、都会では適切な返納時期が「74歳まで」としている者が73%なのに対して、地方では61%と12%もの違いが見られる。やはり交通インフラに乏しい地方では返納はなかなか難しいと言うことか。
報道によれば高齢者限定の車両が設けられるという動きもある。それとともに地方における交通インフラの整備も必要なのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)